そして翌日。
私もやっと新しい学校慣れてきた。
朝のHR、扉が開くと昨日挨拶をしてくれた先生と知らないイケメンの先生が入ってきた。
誰?あの人。
何人かの女子が騒ぎ始めた。
先生「はい、静かに。昨日阿部先生が風邪ひいて入学式に出られなかった。で、今日からこの隣にいる阿部先生がみんなの担任だ。では阿部先生、お願いします。」
阿部「はい!昨日は風邪ひいて皆さんの入学する姿を見れなくて残念でした。でも今日こうして皆さんの姿を見れて嬉しいです。名前はー、あっ黒板に書いた方がいいか。」
そう言って阿部先生は黒板に自分の名前を書き始めた。
阿部「名前は、阿部亮平です。みんなからは阿部ちゃん先生って呼ばれてます。先生が仰った通り、皆さんの担任を受け持つことになりました。これから一年間、よろしくお願いします。」
そう紹介すると、クラスみんなが拍手し始めた。
イケメンだし、笑うとちゃっと可愛いんだよなぁ。姫みたい。
阿部「では早速、出席をとって行きます。」
一人一人名前を呼ぶと、先生が困り始めた。
阿部「ラウールくん、あれ?休みか?」
先生「あー、ラウールくんはインフルエンザで休んでるそうです。」
その話を聞いて、私は隣の席を見た。
誰も座ってない席。
ラウールくんかぁ。一体どんな子なんだろ。
朝のHRや授業も終わり、昼休みになった。
陽葵と一緒に食べようとお弁当箱を出したら
あなた「あれ?なんか大きい。」
私が食べれそうにない大きいサイズのお弁当箱があった。
もしかして、お兄ちゃんのと間違えたかな?
しょうがない。陽葵に話してお兄ちゃんのクラスに行くか。
立った途端、急にクラスの女子が騒ぎ始めた。
女子A「何あの人ー!」
女子B「超かっこいいー」
扉を見ると、私のお弁当箱を持ったお兄ちゃんがこちらをじっと見ていた。
蓮「あなたー、お前俺の弁当箱間違えて持ってったろ!」
あなた「ごめんお兄ちゃん!はいこれ!」
お兄ちゃんに弁当箱を渡すと、後ろからもう1人ひょこっと覗いて私を見て来た。
??「あれ、君もしかして昨日の子とちゃう?」
あっこの人!昨日体育館案内してくれた人!
蓮「康二お前着いてくんなよ。てか妹のこと知ってんの?」
康二さんっていうんだ、この人。
てかお兄ちゃん康二さんと仲良いな。
康二「そー!昨日迷ってたから体育館に案内したんよ。そうかめめの妹か!初めまして!みんなの万能調味料こと塩麹よりも向井康二です!」
自己紹介長っ。
でも面白いし良い人そうだな。
あなた「初めまして!兄がお世話になってます。妹の目黒あなたです!」
康二「あなたちゃんかー。可愛ええなぁ。」
あなた「お兄ちゃん康二先輩と知り合いなの?」
蓮「知り合いつーか、去年の後期に転校してきて同じクラスになったから一緒にいる事が多いな。」
へぇー、お兄ちゃんにこんなイケメンの友達がいたとは。
康二「もーめめったら素直じゃないんやからー!お友達っていいなよー!」
蓮「やめろよそのだる絡み!」
そんなやり取りを見てると、お兄ちゃんが急に慌て始めた。
蓮「やべ、早く食わないと昼休み終わる。康二、早く行くぞ!」
康二「ちょっ、待ってやめめー!」
2人は急いで廊下を走っていった。
騒がしかったなぁ。
話終わると、女子達が急に私に集まって来た。
女子A「あなたさんのお兄さんってあんなかっこいいの!?」
女子B「いいなぁあんなにかっこいいお兄さんいて。」
さすがお兄ちゃん。
新入生の人気も高いなぁ。
あなた「うん、でも家と学校だとだいぶ違うよ。」
家では髪下ろしてるけど学校行く時とかテクノカットだし。
女子A「そうなのー?あっそういえばラウールくんって子、名前的にハーフっぽいよね。」
急に内容変わったなぁ。
そこからは女子はお兄ちゃんからまだ学校に来てないラウールくんの話をし始めた。
私はご飯が食べたかったので、そーっとその場を去り、陽葵のクラスで陽葵と一緒にご飯を食べた。
遅いー!と言われて怒られちゃったけど。
でも蓮先輩見れたーと言って笑顔でご飯を食べてた。
その姿を見て密かに可愛いなぁって思った。
やっぱり恋してる友達見てると可愛いってなるなぁ。
2人で色んな話をしながら食べると、あっという間に昼休みが終わった。
その後の阿部ちゃん先生の授業で、阿部ちゃんが笑いながら多めに課題を出してきた。
しかも目は笑ってない。
闇を感じました。
そんなこんなで高校生最初の授業日は幕を閉じた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!