私は叫んだ。
喉が潰れようとも構わなかった。
この恐怖とも痛覚とも捕られられない感覚から逃れたい一心で叫んだ。
皮肉にもこの声は目の前の男にしか届かない。
男は私を地面に押さえつけ、刃を深く突き立てた。
首でも締められてるんじゃないかと思うくらい苦しく声が出ない。
痛い、熱い。
あろう事か、腕を切り落とされた。
痛みで声が出ず、無いはずの部分が痛む。
切り落とされた腕の断面を見ると血が流れだし、赤く艶やかな肉が丸見えだ。
他人事のように綺麗だなと思うが痛みは絶え間なく襲い続ける。
呼吸が落ち着くと口に何かを突っ込まれた。
薬のような匂いと鉄の味、あぁ、まさか。
私は薄れゆく意識の中思った。もう逃げられない。死ぬしかない。
睡眠薬はどれくらいの時間、人を夢に連れ込むのだろうか。
「次は君だ。」