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第3話

日が暮れかかる教室で。玲紗side
結局、芹先輩せりせんぱいが助け出せたのは、
従妹の優香ゆうかちゃんだけだったそうだ。


つまり、芹先輩のご両親と、優香ちゃんのご両親を
救えなかったということになる。


しかし、芹先輩は消防士でも怯むような業火の中で
一人の命を救ったのだから、
とても立派だし、凄いことだと思う。


‥‥‥‥‥‥さて。


優香ちゃんは身体中に大火傷を負ってしまい、
今なお病院生活を送っているとか。


そしてその際、
芹先輩は丸腰の状態で業火へ突っ込んだわけで、
当然彼も優香ちゃんほどではないにしろ、
かなりの火傷を負った。


芹先輩はその入院生活の中で、
何度か自殺を図ったことがあるらしく。


説得しようにも止めさせようにも、
肉親はもう他界して、優香ちゃんも入院中。


となると、病院側は友達筋を頼る他になかった。


そこで抜擢されたのが芹先輩の親友、
水鳥敦みとりあつし先輩だ。


敦先輩は芹先輩をこっぴどく、いや、
ほぼ突き放しにかかりながらこんこんと説教をして
諭して、異常に歪んでしまった根性を
叩き直したのだそうだ。


それ以降、芹先輩は以前のような自殺行為を
つつしむようになった。


加えて、バランスよく食事をとり、
睡眠をとり体をちきんと休め、
治療に専念するようになったという。


それはまるで、
命を捨てようとしていた時期の分までを取り返し、
生きようとするかのように。


さらに芹先輩は、
リハビリの許可が下りるようになると
鬼サポーターのもとそれこそ血の滲むような努力で
驚異的スピードで運動機能を回復させていった。


この芹先輩の快挙には鬼サポーター
(もとい木之下きのしたさん)も目を丸くしていたそうだ。


さらにさらに、自殺を図ったり、その分治療も進まなかったり、また今度は急に治療やリハビリに専念したりで全く学業が疎かになっていた芹先輩。


さすがに本人も気にしていたのか合間合間に少しずつ、勉強をするようにしていたそうで。


それを知った病院側が、そんな学習の仕方じゃ身に付かない、と粋な計らいをしてくれた。


芹先輩のその頃の態度の(いい意味での)変化や
リハビリや治療の取り組み方を十分評価したうえで
家庭教師のパンフを用意してくれたそうだ。


そして芹先輩は
そのパンフから家庭教師を雇ってもらい、
晴れて勉学にも励める環境が整ったのだ。


そうしてリハビリも勉学にも精を出し、
努力した甲斐あって、
芹先輩の退院は予定よりも早くになり、
高校復帰直後、
三学期の二年生の期末テストでなんとなんと、
首席を獲得したのだ。


獲得した‥‥‥‥‥‥‥はずなのだが。


ようやく三年生に進級できたというのに、
進級後すぐのテストで芹先輩の学力は、
なぜか右肩下がり。


急激に落ちていって上の上、
又の名を首席、所謂トップの座から、
中の下ほどにまで転落してしまったのだ。


そういうわけで、今、私は芹先輩に勉強を教えて、
サポートしていた。


なぜ私がその役柄に抜擢されたかというと簡単だ。


芹先輩が首席を獲得した期末テストで、
私は僅差での次席をとり、
芹先輩が転落したテストで、
私が首席を獲得していたからだった。


それに敦先輩ももう卒業されてるし。


教師達も、
芹先輩のこの急な学力の低下には肝を冷やしていて
性格にそれほど難のない私が
適任だったことも、あるとかないとか。


なぜ私がここまで詳しいのかというと、
それにはわけがあって。


例の品のあるファンクラブ会員達や、
私に芹先輩の勉強の面倒を見させることを決めた教師がそれぞれ私に教えたのだ。


ファンクラブ会員、恐るべし。


その熱量‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥勉強とか、部活に向ければいいと思うよ‥‥‥‥‥‥‥‥‥うん、ほんと。



なんて、芹先輩が問題を解き終わるのを待ちながら日が暮れかかる教室で人の心配をした。