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第10話

父。玲紗side
私の父は親バカな人で、
小学生だった私にブランドの靴や靴下、服、
ハンカチなんかを持たせてくれていた。


頭もいい人で勉強もよく見てくれた。


そのおかげか、
塾に通わなくてもいい点をとれていた。


それが、周囲には鼻にかかったみたいだった。


だって、父の職業はギャンブラーだったから。


もし、医者や弁護士のような真っ当な職種なら、
たぶん皆、ゴマスリをして
取り巻きにでもなっていただろう。


なんだか、、それもそれで嫌だけど。


まぁ、そのせいか私はどこか周りから浮いていた。


子供は素直で単純だ。


気に入らないモノほど認めたがらず、
排除したがるもの。


一年生の頃仲の良かった笹原さんは、
三年生の頃には私から離れていった。


男子も女子も私の隣には座りたがらない。


ペアやグループ学習の時、
あからさまに私を避ける。


子供ながらにパワーバランスは形成される。


私はその最も下、底辺にいた。


てっぺんにいるのはガキ大将の小暮と、
父がテレビタレントの鷲条さん。


その二人を中心にグループは作られ、
クラスという小さな世界は回っていく。


笹原さんは鷲条さんの取り巻きになっていた。


それが、
クラスのカーストから弾き出されずに身を守る、
最善の策だった。


悲しい、だなんて気持ちは誤魔化す程もなく。


感情が麻痺してしまったんだな、と、
ぼんやりと思っただけだった。


私は笹原さんのようにはなれなくて、
鷲条さんの目の敵にされた。


何もしてないのに。


さらに父の職業のこともあって、
私はクラス内で孤独だった。


そんな中、起こったことだった。


六年生の時の授業参観で、
保護者の仕事についてインタビューをしよう、
という総合的学習。


その日も父は親バカらしく、
きちんと私の授業っぷりを参観に来ていた。


服装は派手で、羽振りのよさが窺える。


父も私と同じように、
周囲のスーツを纏う親御さんから遠ざかられ、
浮いていた。


それをチラと盗み見て、私は頭痛がした。


父に大切に育ててもらったことを自覚していたし、
感謝してもいた。


それでもやはり、思ってしまうことがある。


まともな職業に就いていて欲しかった、と。


日に日に私を見る目や扱い、
嫌がらせがエスカレートしていっていた。


しかし、私の感情は既に麻痺していたようで、
最初はただただ呆れるばかりだった。


その態度がさらに向こうを挑発していたと気づいた頃にはもう遅かった。


どれだけ感情が麻痺していようとも、
しんどいなぁ、と、
そのくらいのことは思うようになっていた。


そして今。


鷲条さんの侮蔑するような視線、
取り巻きのひそひそ話。


小暮のニタニタとした意味ありげな笑顔、
男子のクスクスという笑い声。


それらから私は気づくことができなかった。


あの人達がしようとしていたことを。


私は知らなかった。


父の過去を。


母とのことを。