第2話

これこそ運命『絶希』
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2020/06/20 12:56
※無印の黒幕ネタバレ 
※短い

















気付けばどこかにいた。
どこかと聞かれればどこか。
分かっていることはどこかの暗闇の部屋に1人で座っていること。
光ひとつなくそれは暗闇。
江ノ島盾子
ようこそ。苗木クン?
姿は見えなくとも声だけが聞こえる。
その声が脳に残る。


どこかで聞いた声、答えが出るのにさほどの時間はかからなかった。だからといってパッと出てきた訳でもなかった。
苗木誠
……江ノ島……?
江ノ島盾子
うぷぷっ!苗木クンお久しぶりねぇ〜!!
江ノ島盾子
と言っても苗木からはアタシの姿は見えてないだろうけど
苗木誠
苗木誠
……………ここ…どこだよ
江ノ島盾子
ここはねぇ〜!私の心の中なんだぁ〜♡
苗木誠
……は…?
江ノ島盾子
私の心が具体化したと言った方がいいでしょう。
江ノ島盾子という絶望の心の中の部屋です。
江ノ島盾子
そこで今貴方はこう思ってるでしょう。
「これは現実なのか」「なぜ自分がこんな所にいるのか「なぜ江ノ島盾子がここにいるのか」
江ノ島盾子
全ての質問に答えるとするなら
Q「これは現実なのか」
結論から言うとここは現実ではありません。
ならこれは何なのかは貴方が考えてください。それは私から答えを導き出すことでは無いので。
江ノ島盾子
Q「なぜ自分がこんな所にいるのか」
先に言っときますが私が貴方をここに呼び出した訳ではございません。
まぁ強いて言うなら「運命」と言ったところでしょうか。
江ノ島盾子
Q「なぜ江ノ島盾子がこんな所にいるのか」
これもさっきの答え同様「運命」でしょう。
そこにいるであろう江ノ島は一息で全てを言い切る。
思っていなかったと言ったら真っ赤な嘘だ。
だが納得がいったかと言えばいかなかった。
江ノ島盾子
まァんなこったァ今はどうっっっでも良いんだよ!!
江ノ島盾子
俺はもう死んでるしなッ!!!
苗木誠
……
死んでる
その事実が僕の心に残る。

僕達の仲間に殺し合いをしむけて、最後の最期に自分から絶望を望み皆が受けたオシオキを全て受け、最期には僕が受けたオシオキでプレス機に押しつぶされて
死んだ。
江ノ島盾子
さて、苗木。
江ノ島盾子
アンタさ、絶望に堕ちる気、なぁい?♡
苗木誠
ある訳無いだろ…
江ノ島盾子
ほんとに?
急に声のトーンが落ち、いかにも真面目に言っているということが伝わる。
江ノ島盾子
アンタさあ……希望なんてちゃちなもん捨てて絶望側に来たら?
江ノ島盾子
あいつらにはアンタなんて必要ないのよ?なんの才能を持たないアンタが才能を持ったあいつらを引っ張って行ける?いいや、あいつら5人であんた無しでも生きていけるわよ?
江ノ島盾子
てかアンタ覚えてる?あいつらはアンタを2回捨てようとしたのよ?まぁアタシの言い分があったからこそなんだけどね。
江ノ島盾子
あいつらは自分の命さえ助かればアンタなんて捨てられるって訳
苗木誠
そ……れは、
苗木誠
……っ、でも、だからって僕は皆を捨てたりなんかしない…!
江ノ島盾子
…………ふーん。あっそ。
江ノ島盾子
まぁいいや。最初から期待なんかしてなかったし。
江ノ島盾子
最後に死んだアタシから生きてるアンタにありがた〜〜〜い忠告よ。
江ノ島盾子
これから生きていく上でアンタはこれ以上なんてないだろうけど次から次へのアタシからの絶望が舞い降りる。
江ノ島盾子
その度アンタは希望やら仲間とか薄っぺらい味もなんにもしないもんを信じて前に進むんだろうけどアンタ、それじゃいつか死ぬわよ?
苗木誠
………
苗木誠
お前は…
苗木誠
お前は僕の後悔の形だ。
苗木誠
だからこそ僕はお前を引きずっていく。お前にある絶望まで。
江ノ島盾子
…………
江ノ島盾子
うぷっ……!うぷぷぷぷっ!!!!!ほんっとアンタには飽きないわね
江ノ島盾子
まぁ引きずれるものなら引きずってみなさい
江ノ島盾子
引きずっていくならアンタには一生私の絶望がアンタにまとわりつくわよ?
苗木誠
それも覚悟の上だ。
僕にある希望もお前に尽くすからお前も覚悟しろ
江ノ島盾子
うぷぷぷっ!!!分かってるわよ
江ノ島盾子
だってこれは………
江ノ島盾子
『運命』なんだもの




ここで目が覚めた。
目が覚めたという事はこれは夢だったのか。
それにしてはあの声もあの言葉もずっと耳に残って脳に残っていた。
霧切響子
あら、起きた?
苗木誠
………霧切さん…?
霧切響子
魘されてたわよ。どんな夢を見てたの?
苗木誠
それは………
霧切響子
…あら?苗木クン、校章はどうしたの?
苗木誠
えっ……?
霧切さんに言われすぐに胸元を見た。
そこにはいつもあったはずの校章のバッヂが無くなっていた。
そしてポケットを探ると何か丸みの帯びたものが入っていた。
苗木誠
な、んで……これが……?
それは確かに江ノ島がいつも髪ゴムに使って右についていた黒のモノクマのゴムだった。
僕はあの時あの瞬間江ノ島に言ったこと、言われた事を思い出す。
苗木誠
(……そういうこと…か。)
苗木誠
(これが……)
運命なんだろうか

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