スーダン、無印、アニメ3のネタバレ注意
いつも通り狛枝さんは張り付いたような笑顔で私に挨拶をしてくれる。私のようなゲロブタにも挨拶をしてくれるなんて優しい……なんて毎回思いながらも裁判の時の狛枝さんと重ねると恐怖も感じる。
そう言って狛枝さんは左手をひらひらと私に振ってレストランへ行った。
その左手に何故か私は釘付けになっていた。
青白く不健康で骨が浮き出てるが少し綺麗だと感じさせるあの手。
それはどこからどう見ても狛枝さん自身の手だった。
無意識に私は何かを呟いていた。
あい?あいってなに?
周りの人に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いたはずの一言。だけどそれがずっと脳に張り付いているような感覚だった。
そんな事は忘れようとレストランへ向かう。
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夢を見た。
ツインテールの女の人が気持ちの良い笑顔で手を振って、後ろでは何かが組たっているような。
そこからはその女の人が殺されていく姿。
ボールで千回ほど体を打たれていたり、即死確定のジェットコースターを乗っていたり、火炙りにされたり、ショベルで頭を何度も叩かれたり。
でもその女の人は無傷だった。楽しんでいるようにも見えた。
そして最後、何故かモノクマさんを抱えて笑顔で机に座り、プレス機で押し潰されるのを待っている。
そしてプレス機の真ん中に止まり、さっきまで笑顔だった顔が最後真顔に変わる。
そしてプレス機で押し潰され圧死。
私は疲れているのだろうか。
悪夢のようななにか。でもこれを見たのは初めてじゃない感覚があった。
誰だ。この女の人の名前は。
何故かこの女の人に心が揺さぶられ、高まる。
私は前の言葉を思い出す「あい」
なにか思い出すことは無いか。
そして「あい」を変換させると「愛」になるのを思い出した。
愛。愛。愛。愛。
愛…?
私の愛した人……、
あれ?
あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれ???
あれれれ?
おかしいですねぇ、なんでこんなに心臓の鼓動が早いんでしょう?
愛…………………
うふ、ふふふふ、なんでこんなに気持ちが高まってるのでしょう。不思議でしょうがないです
私の愛した人…………
私を愛してくれた人。
そんなひとは1人しか居なかった。
無かった記憶が戻ってくる感覚。
━━━━━江ノ島盾子さん
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。