廃車が崩れ落ちる、少し前ーーー。
場地と一虎、マイキーの3人は廃車の上にいた。
いくら説得しても敵意を消さない2人に
マイキーは悲しそうに眉を下げる。
そんなマイキーを
稀咲は側近を連れて見ていた。
稀咲はチラリと自分を見ているあなたを見る。
そしてあなたが稀咲から目を離した瞬間…。
稀咲がそう言うと同時に
東卍の服を着た男が一虎に殴りかかる。
一虎は一瞬驚くもすぐに相手を蹴り飛ばす。
しかし、その反動のせいで
一虎が足場にしていた車が崩れる。
場地は瞬時に一虎の腕を掴むと
マイキーの元へ投げる。
マイキーは目を見開いて叫ぶ。
場地が落ちている時
自分に必死に駆け寄り手を伸ばす武道と千冬が
視界に入る。
そしてそれが
場地にはとてもゆっくり見えていた。
そして車は場地を巻き込み、崩れ落ちた。
車の下から流れ出てくる血を見て
千冬は顔面蒼白になり車に近寄る。
その様子を武道は…
いや、その場にいる全員が呆然として見ていた。
武道は困惑する頭で
しかし冷静に先ほどの出来事を振り返る。
誰もが場地は潰されたのだと思った。
しかし、場地は生きていた。
では、あそこには誰がいる?
真一郎はフラフラとした足取りで武道に近寄る。
そんな真一郎を見て
武道は涙目であの血溜まりに目を向けた。
真一郎の言葉を聞いた瞬間
武道は走り出す。
いや、武道だけではない。
灰谷兄弟も、ドラケンも、マイキーも…
あなたに関わりのある者は車に駆け寄る。
そして真一郎も震える足で車に近づく。
真一郎は顔を青くしながらも頷いた。
そしてそれを見たドラケンは
車を持ち上げ様と力を入れながら怒鳴る。
そしてその言葉と同時に車が持ち上がる。
真一郎は意を決し車の中に身を潜らせた。
真一郎は丁度車の隙間にいたあなたを見て安堵する。
真一郎は頭から血を流しているあなたを
ゆっくりと車の中から出す。
そして、2人が車から這い出ると
車はドンッと音がしてさらに崩れてしまった。
真一郎はあなたの頭を庇いながら
宝物を触る様に優しくそして強く抱きしめた。
あなたのその言葉に全員微笑んでいた。
そして、何処からかパトカーの音が聞こえてくる。
そして、その場には真一郎とあなた以外
誰もいなくなってしまった。
あなたはジト目で睨んでくる真一郎に苦笑する。
真一郎は日差しが入らない様
あなたの目元を自身の手で隠す。
すると直ぐにあなたから寝息が聞こえてくる。
真一郎はあなたの目元を隠したまま苦笑する。
そして真一郎は…
あなたの唇に優しくキスを落としたのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。