危ない。過去を。
過去を思い出すところだった…。
私達は人混みに流されながら、改札を出た。
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辺りを見回すも、バスやタクシーの乗り場が見当たらない。
徒歩って言うから、結構、いやもっとかかるかと思ってた。
そう言って、翔太くんはまた私の手を引いた。
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空はもう既に美しい群青色である。
この数分で景色がパッと変わってしまった。
怖いものだ。
また嫌いな。
私の嫌いな夜がくる。
やってきたのは、ある高台。
確かにこんな高台、マンションの近くには無かったけど…星なんてどこからでも見ることが出来る。
彼はそう1人で呟いた。
原っぱに座り、そよ風にあたりながら2人で星が現れるのを待つ。
思わず子供のように指をさして、そう言ってしまった。
翔太くんは口元を抑えながらふふっと笑った。
少し待つだけでどんどん星が現れる。
気づくと辺りはもう、大きなベールに包まれたようなさっきより深い美しい青色で染まっていた。
まるで夢の中のようだ。
素敵な夢を見ているに違いない…。
空を見上げていると、
彼が早口でそう言った。
完全に見逃してしまって、少し切ない。
翔太くんがそう言った瞬間、3つ程の流れ星が降った。
雨のように一直線に落ちていく。左から右へ。
彼は、星のように瞳を輝かせそう言った。
流れ星が過ぎ去ったあとなのに、彼はそう目を閉じて願った。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。