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第21話

告げてタイトに。
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2019/12/28 13:42
@翔太side
そう、今日は旅行に行く。
最期の旅行。
今まで僕が行きたかった場所。
この日のために色々、努力したんだからな?
喜んでくれるといいな。
淡い期待を胸に、俺は彼女の寝ている横顔を見つめた。
@@@
まふゆ
まふゆ
ふぁ〜。
電車をおりると、暖かい日差しが体に当たる。
なんで電車?ここは…どこ?
翔太
翔太
今日は旅行で〜す!!
「どうだ」と言わんばかりの自慢気な顔で翔太くんがそう言う。
まふゆ
まふゆ
仕事は…?
翔太
翔太
嘘!休み。
ほ、ほう。。
翔太
翔太
じゃあとにかく、沢山やる事あるから!まずはひとっ飛びするぞ!
まふゆ
まふゆ
はあっ?
翔太
翔太
いざ!バンジージャンプ!!
一瞬だが、私は見た。
彼の目に光が戻った瞬間を。
@@@
@まふゆside
翔太
翔太
ふぅ。飛んだ飛んだ!
まふゆ
まふゆ
な、なんで2回も飛んだの…??
翔太
翔太
え?まふゆも飛ぶと思ったのに「飛ばない〜っ。無理ぃ〜」とか言うから、キャンセル料勿体ないし、飛んだのさっ。
彼は少し変わったヤツだ。
清々しい彼の姿を見たら、私までスッキリした。
また新しい気持ち、感情を知れた。
翔太
翔太
次は、まふゆメインの場所だから、お楽しみしてて。
ニヤリと笑う彼に少し不安を抱きながら、私達は自然と手を繋いで進んだ。
@@@
翔太
翔太
うわぁ〜!まふゆ、きれ〜!!
翔太くんは、子供のような幼い声が聞こえた。
顔を傾けよく見ると彼は素敵な袴を着ていた。何故?
さらに私の頭は少し重い。何故?
少し記憶が飛んだのか?ここに来た記憶はない。
「完成でございます。どうぞお鏡を。」
関西訛りの強いお姉さんにそう言われ鏡を見ると…
まふゆ
まふゆ
うわぁ。誰?
見たことも無い自分がいた。
髪を編み込んで後ろでくくられ、飾りにお花が咲いていた。
顔もキラキラしてる…メイクの力…すごい。
そして私の着る赤色の着物。
この色は、私の好きな色だ。
翔太
翔太
すごくいい、よく似合ってるよ。
「彼氏はん、もっと褒めたってや〜。」
翔太
翔太
そ、そんな、僕は彼氏なんかじゃ!
まふゆ
まふゆ
ふふふっ
私達がカップルに見えなくもないという事実に少し恥ずかしさが残るが、笑みが零れた。
このいじりが、好きで好きで仕方なくなっていた。
@@@
生暖かい風と、眩しい陽の光。
人の声と、首のムズムズ感。
翔太
翔太
素敵なところだな〜
歴史的建造物を見たのは、修学旅行以来。
2度目でもやはり、圧倒された。
まふゆ
まふゆ
ありがとう、翔太くん。
翔太
翔太
なんだよ、改まって。
まふゆ
まふゆ
早速、曲がかけそうだよ。
和の雰囲気。
何故かゆっくりと流れているように感じる時間。
古人の人も、ここを歩いていたと思うと、時をまたいで共有しているようで。
目に見える神秘性と、目に見えない神秘性が入り交じっている。
赤を基調として、黒でしめる。
彼より少し遅く歩いて、背中を見て見たりする。
翔太
翔太
これ、恥ずかしいな。
翔太くんが自分の服の裾をクイッとつまむ。
言われてみれば、さっきからやたらと外国人観光客の方たちに話しかけられるし、写真まで頼まれた。
母国とは違った文化で「物語に入ったみたい」なんて思うんだろうな。
確かに、昔の話だったはずのものが目の前にあることの素敵さといったらそりゃもう_
翔太
翔太
まふゆ、団子食べる?
気づいたら彼は手にくしに刺さった団子をふたつ持っていた。
まふゆ
まふゆ
いつのまに…
翔太
翔太
まふゆが、ぼーっとしてるからだよ。
翔太
翔太
ほら、あーん。
ここは。甘えちゃお…
まふゆ
まふゆ
あーん。
カップルみたい。我ながら思う。
この団子なら永遠と食える気がした。

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