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第9話

月は見ている。
まふゆ
まふゆ
綺麗な月。
翔太くんが連れてきてくれた場所は誰もいない裏山。
空には孤独なまん丸の月と星が散りばめられていた。
彼はここにいるんだって。
翔太
翔太
綺麗…本当だね。
機械のように調子がない声でそういう彼が立ち止まった目の前には、横たわった何かが確認できた。
スマホのライトでそれを照らす。
まふゆ
まふゆ
嘘っ…
思わず口を抑えた。
気を使ってたまに私に優しく話しかけてくれていた、笑顔が似合う素敵な男の子_夜雨ヤウくんだった。
寝ているかのように、長いまつ毛を下に下ろし、少し焼けた肌を晒している。
翔太
翔太
夜雨は…主犯格ではなさそうだった。
まふゆ
まふゆ
…そっ、か…
ますます人が信じられなくなった。
優しいと感じていた彼が、グループの一員だったなんて見損なった。
翔太
翔太
どうすれば…?
まふゆ
まふゆ
彼を埋めてあげよう…?
翔太
翔太
それで俺らも消える。
そういうことか。
私はゆっくり頷いた。
夜雨くんから微かに臭う香水の匂いが鼻をくすぐる。
まふゆ
まふゆ
お花を添えよう。彼を埋める穴を、お花いっぱいにしてあげたい…。
翔太
翔太
わかった。俺は穴を掘るよ。
そう言うと翔太くんは、手で穴を掘り始めた。
私は持っていた色とりどりのお花をちぎり始めた。
お花には悪い。
生命を殺してるのと一緒だから。
お花さん、ごめんなさい。
でも夜雨くんがゆっくり眠れるように。
少し手伝って。
夜雨くん。ごめんなさい。
まふゆ
まふゆ
準備できたよ。
翔太
翔太
もういい?
その言葉に私は頷いた。
翔太くんの足元には浅い穴ができていた。
私と翔太くんは夜雨くんを穴に入れた。
翔太
翔太
じゃあ。
そう言うと彼はしゃがんで黙祷を捧げた。
もちろん私も一緒に。
月明かりに照らされた、夜雨くんの肌は透けていた。