第5話

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2020/11/18 11:00
恥ずかしい人違いの事件から5日。
元々固定の女友達がいなかったこともあり、晴夏ちゃんと私は互いに打ち解けていった。
晴夏ちゃんは古典文法が得意教科で、読書が好きで、特に梶井基次郎がお気に入りらしい。
特に有名な『檸檬』は晴夏ちゃんの好きな作品の1つで、流れるような話の展開が、読後の自分を浄化してくれるかのようだ、と話してくれた。
私も1度読んだことがあったので、もう一度読んでみたいなと思う。
また、晴夏ちゃんは言葉を大切にする。
言葉の1つ1つに命が宿るから、大切にするんだ。日本語だからこその表現って素敵だと思う、という話もした。
今までそんなこと考えなかったなぁ……と私は苦笑い。
それでね、と晴夏ちゃんは続ける。
柔らかい言葉や、強い言葉を巧みに扱う人が書く文章って、とても引き込まれるんだ。
態と強い言葉を選んだり、優しい言葉をほんの少し混ぜてみたり。
それでいて各々が主張しすぎない、そんな文が書ける人になりたいなって思う。







だからさ、私、小説家になりたいんだ。





















そんなことを、2人で話した。














『私ね、大人になったら本を書きたいの!』

___作家さんのこと?


『うん!いっぱいいっぱい書くの!それでね、たくさんの人に見てもらうんだ!』
___なら、私は一番最初に読ませてね!


“ もちろんだよ!だって私達、”





















“ 友達だもん! ”

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