晴夏と初めて喋ったのは、小学校3年生の時。
当時、伸ばしていた茶髪を高く1つに括るその姿は、未だあどけなさを残している。
『有紀ちゃんって呼んでもいい?』
『だって、私達友達だもん!』
『また一緒に遊ぼうね!』
そう言って、太陽のように笑う晴夏。
あの頃は、楽しかった。
でも、何時だったか、私達が太陽では無くなった。
何かを境に、晴夏は無邪気に笑わなくなった。
勿論、面白いことがあれば笑うけど、今までのように、皆を明るくさせる晴夏はもう居なくなった。
言葉を大事にして、自分からは発言せず、常に周りを見る。
晴夏は変わってしまったけど、別に悪いことじゃない。
キャラを変えたくなる気持ちはわかる。
それに、私達は友達だ。
だから、どんな晴夏でも私は好きだった。
_______私は好きだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!