「僕ライブ初めてなんだけど…」
「ええっ!?」
彼女の声が大きかったから周りの人の視線が
一斉に集中する。
「めっちゃいいよ、ライブ!
とりあえず楽しもうっ!」
1組目はバンド。
4人の息がすごく合っていた。
2組目は弾き語り。
ハスキーな歌声がギターと合っていた。
3組目は2人組。
歌詞が印象的だった。
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♩ 好きって気持ちだけで恋が成立すればいいのに
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…?
「なぁ、これって…」
「そう、私作詞家なのよ」
…驚いた。
さらっとそんなことを言ってのける
彼女はすごいと思う。
そしてこの後、僕はもっと驚かされることになる。
…あまり良くない意味で。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!