その日の翌日、いつものように屋上に向かった。
四宮たまきがいないことを願いながら扉から屋上を覗いた。四宮たまきはいなかったのだ。
(やっぱり昨日のは冗談だったのかも)
そう思うようにして私はここでご飯を食べることにした。
だけど、少したってたから屋上の扉が開いた音がした。
恐る恐る覗くと四宮たまきが入ってきたのだ。
「やっほー!俺もここでご飯食べていい?」
こいつは何を言っても聞かないと思った私は、
「勝手にすれば?」
とこたえた。
せっかくいい場所を見つけたのに。
学校の人と一緒にご飯を食べることが久しぶりすぎて緊張したせいか、ご飯の味が分からなくなっていた。
(なんでこんなことになった?)
そう考えながら昨日起こった出来事を頭の中で振り返る。
(あーもぅー!やっぱ思い出したくない!)
私たちはもくもくとご飯を食べた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!