第30話

scar
46
2019/10/23 14:30
「久しぶり。急に来てごめんね。少し話したいなって思って、」




私の聞きたくなかった声が頭に響く。




そのまま、私は四宮たまきとの約束を破って桜夜しずくと歩きだしてしまった。




怖い。




自分の心臓の音がずっと鳴り響いていた。




「あのさ、あの時らんに最低なことをしたかもしれないけど、俺、本当にらんのこと好きだったよ。」




そんなことを急に言いだす桜夜しずくに




「うん。」





と声にだした。




「、、今でもだよ。ずっと忘れられなかった。」





正直、私はもう、桜夜しずくには全く気持ちがなかった。




こんな告白めいた言葉を言われたところで、私の気持ちは変わらない。






「もしかしてさ、今彼氏とかいんの?」



「、、、いないよ。」



私は静かにそう言った。



「だったらさ、付き合ってよ。」



その言葉を聞いたとたん、胸がぞっとした。



私に散々酷いことをしたのに、何を言っているんだと、怒りがこみ上げた。



同時に少しだけ怖かった。



「、、ごめん、無理だから、、」



震える声を振り絞って答えた。



「、、やっぱり許せないんだね。俺の事。」



私はそれには何も答えられずにいた。



「じゃあさ、、、今ここでキスしてくれたら諦めるよ。、、それか、今から俺ん家来てくれたら。」



やっぱり変わっていない。今思うとこんなやつをどうして好きだったのかが理解できなかった。



イカれている。




こいつは。






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