第25話

Not disappear
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2019/10/14 13:58
「どうして?」






「悲しいから。」






そのあまりにも真っ直ぐな答えに私は余計なことを言ってしまった。






「、、じゃあ、私が死んだら?、、どうする?」







「俺も死ぬかも。」





そう答えた四宮たまきの顔は、少しだけ微笑んでいるように見えた。





「私が死んだら悲しいの?」





「うん。まぁね。」








そう四宮たまきは答えたけど、私は黙っていた。






ただ黙って、今まで溜め込んでいた何かが溢れ出した。







涙が止まらない。





視界がぼやける。





そんな私は、自然に空を見上げていた。






涙を誤魔化すために。






「泣いてるの?」






四宮たまきに見られた私は、とっさに答えた。






「ただの生理現象。」






そのまま、ずっと私は前だけを見ていた。



これ以上見られないように。




すると、




「ねえ、らん。」




という声が聞こえたと同時に、私の頬に四宮たまきの手が触れた。





そのまま、私は顔を持っていかれた。





気づいたら何故か私たちの距離はなくなっていた。





唇に柔らかくて温かい感触。




5秒ぐらいたってやっと、四宮たまきにキスされたことを自覚した。





その出来事はほんの一瞬のことで、私は動揺なんてしなかった。




ただ、その代わりに私はこんなことを口走っていた。





「あんたといると死にたくなくなる。」





そんなことを言った自分に私は後からとても驚いた。




「それでいいんだよ。」




そう言った四宮たまきは私の手を握った。





その時の四宮たまきの悲しい笑顔と温かい手は、私にとってあまりにも優しすぎた。


































































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