カランコロンと音がする。
急に風が吹いたと思った時だっだ。熱い炎天下の中帽子を被った青年を見かけた。
彼は、緑の袴を来ていて、大きい茶色のスーツケースのようなものを引っ張っていた。
彼は、一息つくと汗を吹き近くの椅子に座った。
その様子を見ていた親子は彼に声をかけた。
「あなたはなぜこの街に来たんですか?」
そう尋ねると青年は優しそうな声で頷いた。
何をしに来たのかと尋ねると拝見堂という書店の書生をしているのだという。
旅をしながら書物や書籍などの物語を伝えているのだ。
それを聞いた親子は青年に自分たちも物語を聞いてみたいと青年に話すと青年も嬉しそうに語り出した。
「それでは話したいと思います。今の季節は秋を迎えた時期ですね。ハロウィンと聞いたことがありますか?」
「ハロウィンなら知っているよ。」
「ハロウィンは仮装をしたり祭りをするので有名ですね。怪物などお化け達に扮する人も多いでしょう。」
「ハロウィンのお化けの話をするかい?」
「そうですね。お化けと言うよりも畏敬の話をしましょうか。ハロウィンとは違いますが…よろしいでしょうか?」
「ああ。構わないよ。聞かせてくれるかい?」
そういう時青年は荷物を広げ一冊の本を出した。
「これから話す話は『幽霊列車 前世の旅』という話です。」
「幽霊列車?初めて聞いたな…」
「では…始めます。」
青年は本を開き話し始めた。私たち親子は聴き入って話を聞いていた。
この物語は不思議な話だった。死んでしまった人間の魂を死後に導くため前世を解明して行く物語だ。この物語を聞いた時どこか本当の出来事のように感じた。いつの間にか物語は終わりを迎え青年は荷物を片付けてしまった。
「こうして…きさらぎとフジニアは幽霊列車で前世を解明することになったのです。」
「面白かった!ありがとう!」
「どういたしまして…」
「もう言ってしまうのかい?」
「ええ…長居することは出来ないんです。気づかれてしまうから…」
青年は悲しそうな顔をして笑った後荷物を持ち私たち親子にお辞儀をした後新しい町へと言ってしまった。
「言っちゃったね!」
「そうだね。不思議な話だったな…」
私たちがそう話していた時知り合いに話しかけられた。
「どうしたんだい?」
「だっだってお前…さっき…ひ」
知り合いが何を言おうとしたのか分からないが突然強い風が吹いた。
その後知り合いに言われた一言でぞっとした。
「なんで…独り言言ってるんだよ!」
「何言ってるんだ?この子と一緒に聞いてたんだぞ?」
確かにあの青年と一緒に先程までいて話していたはずなのに私たち親子以外誰も青年の姿を見た人はいなかった。
あの青年は話の通り幽霊だったのだろうか?それとも存在していたのだろうか…それはもう分からない…
「次だ…次…早く次の街に行かないと…まだ…足りない」
先程の青年はそう呟いて次の町へと向かった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。