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第1話

prologue
952
2022/08/18 08:13 更新

せっかく高校生になったのに、勉強も運動もダメダメ。





学校の女の子とここ数年話してない。





髪もボサボサだし背は無駄に高いからよく怖がられる。





そんな風に青春が終わるんだと思っていた————————




















柳原 橙子
柳原 橙子
ちょっと麻実ー、起きてるー?


日曜日の朝、俺が心地よく寝ているというのに幼馴染(野蛮人)に起こされた。

せっかくの日曜日なのに...。
志眞 麻実
志眞 麻実
起きてない...。


柳原 橙子
柳原 橙子
起きてるじゃん。w
ねーねーねー!麻実ー!
志眞 麻実
志眞 麻実
ん...なんだよ...橙子…。


朝っぱらからうるせぇ...。

だるそうに体を起こし橙子の方を見る。
橙子はそんな俺とは対照的に何やら興奮している様子だ。


柳原 橙子
柳原 橙子
これ見て!✨


橙子が俺の顔面めがけてスマートフォンを突き出してきた。
志眞 麻実
志眞 麻実
ちょ、何。
柳原 橙子
柳原 橙子
今度麗斗様が出る舞台のチケット取れたの!


れ、れいとさま...?
志眞 麻実
志眞 麻実
誰それ…。
柳原 橙子
柳原 橙子
はあ…これだからあんたってやつは…。







橙子は俺の布団を思いっきり蹴飛ばして俺をキッと睨んだ。こっっっっわっ!マジで野蛮…。

昔からわけのわからないやつだと思っていたが本当にわけがわからない。
麗斗というのが誰なのか思い出すために記憶を辿る。




志眞 麻実
志眞 麻実
あっ、こないだ言ってた2.5次元俳優の...?
俺がそう呟くと橙子は待っていました、と言わんばかりに顔を輝かせる。


この間橙子がコンビニである雑誌を見つけ、一人でキャアキャア騒いでいた。
その時にたしか麗斗と発言っていたような気がする。


柳原 橙子
柳原 橙子
そうだよ!その人が出る舞台のチケットが取れたの!
志眞 麻実
志眞 麻実
はあ…それで俺についてこいと?
柳原 橙子
柳原 橙子
おっ物分かりいいじゃん!じゃあさっそk
志眞 麻実
志眞 麻実
いや、行くなんて言ってねえし。てか2.5次元ってなに。
普通の舞台ならまだしも。





第一、アニメや漫画なんか滅多に読まないし興味ない。
そして俺が好きなのはゲーム。音ゲーとか戦闘系ゲームなど。
これまで散々橙子に振り回されてきたが俺はもう高校生だ。
興味のないことに時間を割くほど優しくないのだ。



柳原 橙子
柳原 橙子
ええ…麻実だけが頼りなのに…?
柳原 橙子
柳原 橙子
友達にはこのこと話してないから行く人いないし...、
あーいう舞台って行ったことないから一人は不安なの...。




涙目の橙子が服の裾を握りしめている。

この光景を俺は見たことがある。




やばい…ガチで泣くやつだ。


志眞 麻実
志眞 麻実
ちょ、泣くなって、な?俺が悪かったって。一緒に行くから!




必死でなだめる。
橙子が泣いた時は赤ん坊かのようにギャン泣きし、何時間も泣き続ける。
その体力を分けてほしい...。


というか、普通に橙子には泣いてほしくない。
これまで意地悪をして泣かしたとかはあまりないがたまに喧嘩して橙子が泣く時がある。
俺は昔から橙子のことがあの、その...、なんていうか...。


そう!大切な幼馴染だから、泣いてほしくない。

それにいろいろめんどくさいし...。




俺の言葉を聞いた橙子は顔を上げた。





柳原 橙子
柳原 橙子
ほんと…?
志眞 麻実
志眞 麻実
ああ、ほんと!




柳原 橙子
柳原 橙子
言ったね?へへっ、やりぃー!



………は?


志眞 麻実
志眞 麻実
は、ちょ、え?
戸惑う俺を見て橙子がクスクス笑い出す。
柳原 橙子
柳原 橙子
嘘泣きに決まってんじゃん。お馬鹿さんー。




橙子の目には涙のかけらもない。


その代わり、手には録音アプリの画面を開いたスマートフォン、




そして悪魔のような笑みを浮かべている。



(橙子だけかもしれないが)女子って怖い…。













そして俺は、自分の意志も虚しく、

強制的に2.5次元の舞台に行かされることになったのだ。

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