「悪い事は言わねぇ。優雅、もう少し先の事を考えた方が良いと思うぜ」
広夢にこんな事言われるのがかなり悔しかったけど、広夢の言葉に対して、俺は不思議と何も返せなくなった。
このままで良いとはもちろん思ってない。
でも俺は、その言葉から逃げるように次の日も別の子と一緒にいた。
この子は夕那。彩舞とは別のクラスだが、2人は友達同士なんだそうだ。
「あっ……優雅…」
昼休みに誰も入ってこない教室に忍び込んで、こっそり夕那と行為をする俺。
少し昨日ので体が痛むけど、そんな事はどうだっていい。
もちろん夕那との関係は彩舞は知らない。でも、逆にこの子は俺と彩舞の関係を知っているのだ。一体いつどこで知ったのやら。
「ねぇ、優雅。いつになったら私の事選んでくれるの?」
そう、この子は彩舞じゃなく自分を選んでくれとこうしてせがんで来るのだ。彩舞の事がどこか気に入らないのか詳しい理由は知らないけど、きっと何かあるんだと思う。
でも別に、人の事情に深入りして詮索するのは面倒なので、そこまではするつもりはない。
「……いつがいい?」
なんて言って、俺は夕那にディープキスをする。
あぁ、夕那は可愛い。
彩舞も可愛い。
こんなに可愛い子達とこういう事が出来る自分が……
ー悪い事は言わねぇ。優雅、もう少し先の事を考えた方が良いと思うぜ
……クソ。広夢の言葉が邪魔だ。
俺の脳裏に入ってくんじゃねぇよ。
畜生。広夢の言葉に動揺するなんて、俺もまだまだだな。
でも、こんな気持ちさえも忘れさせてくれるのがサッカーだ。
部活をしている時だけは、この事に一点集中出来る。
「OK!ナイス!!」
俺がサッカーを始めるきっかけを作ったのは広夢だ。広夢が俺によく、「サッカーしよう」と声をかけてくれて、近くの公園で遊んでもらっていたのだ。
広夢は当初からセンスがあって、上手かった。だから俺は広夢に憧れたし、広夢を抜きたいって思うようになった。
今は9月。この間文化祭も終わって、完全に今は2年生がトップとして部活を仕切っている。3年生は先日引退したばかりだ。
部長は俺と同じクラスで仲の良い、牧野 太陽って奴。俺は一応副部長だ。これまで上の役割をやった事はなかったけど、太陽とはとてもやりやすい。タメの奴らも後輩もみんな良い子ばかりで、凄く助かってる。そして、この子達も。
「優雅先輩!頼まれていた冷却スプレー、買ったのでストックの所に置いておきますね」
「おお、助かる!ありがとう」
この2人はマネージャーで1年の田中 麻由ちゃんと豊田千景ちゃん。マネージャーだし、試合こそ一緒に出る事は無いけど、この子達も俺は列記としたチームの一員だと思ってる。
大事な後輩2人だ。
そんな俺ら藤城サッカー部に、練習試合の話が舞い込んで来た。顧問に聞くと、なんと星ヶ丘高校だというのだ。
星ヶ丘といったらサッカーの名門校だ。
日時は来週の土曜日。俺たちが星ヶ丘まで遠征する事になった。
下校中、太陽とこんな会話になった。
「やば!星ヶ丘だってよ!」
と太陽。
「な!やっと星ヶ丘と戦える時が来たか」
「優雅、めちゃくちゃ燃えたぎってんじゃん!」
「当たり前だろ!星ヶ丘に俺らの実力見せ付けて煽ってやろうぜ!」
公式戦ではまだ当たった事が無かったから、そんな学校と対戦する機会が出来るのはありがたい。
「だな!やってやろうぜ!」
太陽は俺の肩にパンチをして来た。じゃれ合い程度の威力だったけど……
「いっって!!!」
そこは丁度、野郎の蹴りを食らった辺りだ。俺が倒れている所を最後、上から足を踏み落とされたのだ。
「わ!そうだ、ごめん!ボコられたって話忘れてたわ」
「ったく、ふざけんなよ」
「悪いって!でも、それなのによく動けたな今日」
「あぁ、幸い足に怪我は無いから」
そう。サッカー部員に取って足は要だ。
先に進む為にも足を止める訳にはいかない。
「そっか。マジで気を付けろよ?」
「おう。じゃあ、また明日な!」
今日はもう疲れたし、帰って寝よう。
最寄りの駅に帰って来た時、俺のスマホが鳴り出した。何かと思って一度その場で止まって画面を見てみると、そこには「着信 伽耶」と表示されていた。
なんだよコイツ。
そういえば、昨日の晩にコイツから「ごめんね!」ってLINEが入ってたような気もするが、昨日俺を散々な目に遭わせておいて次はなんだ。誰が出るか。
そう思ってスマホをスラックスのポケットに戻し、ため息をついてから再び歩き出した。
しかし……
「あ!!優雅!!」
俺の目の前には伽耶の姿があった。
To be continued!!
▷▶︎▷▶︎NEXT 第2話
これは波乱の予感……😱😱
感想もお待ちしてます🎶
アンケート
伽耶は何しに会いに来た!?予想しよう!
単純に謝りに来ただけでは?
0%
怪しい……。実は彼氏連れてて、ボコりに来た!?
10%
また体目当てか!?
90%
投票数: 10票
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。