*莉犬side*
それからというもの、あなたはずっとるぅとくんにつきっきり。
他のメンバーで遊んでいてもるぅとくんが寝ている部屋からは出てこない。
俺はなんだか落ち着かなくて、皆がお酒を飲んでゲームをしていてもあまり乗り気になれなかった。
もし看病されてるのがジェルとかだったら遠慮なくあなたに絡みに行っていたけど、メンバーの中で一番大好きなるぅとくんだとそうもいかない。
それに、あなたの最推しなんだから、あなたに看病させてあげたいっていう自己中心的な考えも俺の中でぐるぐると回っている。
でも、あなたは俺の彼女……………だから。
やっぱりそんな親切心だけじゃ収まらない。
気付けば他の皆は寝ていた。
『ったく……………ホントこいつら、誰の家だと思ってるんだろう…………。』
一人で片付けて、寝ている皆にブランケットをかける。
そして自分の作業をする部屋へと引きこもった。
『っはあ……………………。』
思わずため息が溢れる。
俺って相当めんどくさいやつだよね…………。
大好きなメンバーの心配もまともにできないで、勝手に一人で妬いて。
いつもあなたに甘えまくってるからこんなことになるんだろう。
多分俺、あなたがいないと何も出来ないやつになるんだろうな。
ってか、なってるか。
そんな自分が情けなくて苦笑い。
すると、ガチャ
と部屋の扉が開く音が聞こえた。
どうせメンバーの誰かだろなんて思いながら音のなる方へ顔を向けたら
部屋の入り口にあなたが立っていた。
『え……………あなた…………?』
なんで、来たんだろう。
まさか、俺のため?
いやいや、そんなわけ無いと一瞬舞い上がってしまった自分を心の中で殴る。
『えっと、るぅとくんは?』
あなた「もう寝ちゃった。とりあえず薬も飲んでたから、明日にはマシになってると思う。」
『そっか…………良かった………。』
ならもう心配いらないよね。
もう、あなたは俺が独り占めしてもいいよね……?
あなたは俺の隣に腰掛ける。
あなた「…………ふう、やっと一息つける。」
『お疲れ様。』
ほんの数時間だけど、あんまりあなたと喋られなかったからだろうか。
なんだか恋しくてあなたの頭を撫でる。
いつものあなたなら照れて逃げ出していくけど、今回は何もせず、ただ黙って気持ち良さそうに撫でられている。
『いつもと違うね、どうしたの』
あなた「あんまり今日、莉犬と喋られなかったなあって。なんか、寂しいなあってずっと思ってて。」
『っえ』
驚く言葉があなたから聞かされる。
『…………るぅとくんの看病出来て喜んでるのかと思ってた。………俺の事なんか頭に無いって思ってた。』
あなたは恥ずかしそうに、でも、ちゃんと俺の目を見て話す。
あなた「そんなことないよ。ただ純粋に心配だったからだよ。…………るぅとさんには何回も莉犬の所行かなくていいのって言われちゃったけど笑 ……莉犬の事、忘れてないよ。」
『……………正直俺、あなたがずっとるぅとくんに付きっきりで、めっちゃ妬いた。俺の彼女なのにって。』
あなた「………ごめんね?」
『ううん、でもこうやって気にしてそばに来てくれるの、すごい嬉しい。』
さっきまではもやもやしまくりだったけど、なんやかんやあなたと同じ気持ちで安心した。
………………なんとなく、抱きしめなくなって、あなたを抱きしめてみる。
『好きだよ』
そんな言葉をこぼしながら。
あなたはさすがに恥ずかしいのか、俺の胸に顔を押し付ける。
その行動がなんとも可愛くて、余計に抱きしめる腕に力を込めた。
『……………寂しかった分。………いいでしょ?』
あなた「うん。………このまま寝ちゃうかもだけど。」
『いいよ、どうせリビングはあいつらに占領されてるし。…………一緒に寝よ?』
あなた「うん。」
あなたの温もりに触れながら目を閉じる。
すると、あっとあなたが声を出したと思えば
あなた「………私も好きだよ莉犬。」
なんて言うから、目が覚めてしまう。
『…………おやすみ。』
俺は、あなたの額にそっとキスを落とした。
*リクエスト*
「風邪をひいたるぅとくんに夢主さんが付きっきりの状態で、るぅとくんを心配する気持ちと俺の彼女なのにっていう嫉妬心で揺れ動く莉犬くん。」
ご希望に添えられましたかね………?
リクエストありがとうございました!
まだまだ募集しているので是非リク下さい\( 'ω')/バッ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。