1人で帰る帰り道はやっぱりいつもとなにか違う感じ。同じ道なのに…。
さっきの花梨の言葉が表情が忘れられない。
遠くの方で声が聞こえる。
海人と花梨の声だ。
やっぱり花梨の塾って嘘なんだ…私が追い詰めてたんだ…。
木に隠れて二人の話を聞いてしまった私。
花梨「あのさ、約束は?」
海人「ごめん…」
花梨「そんな返事じゃ何も始まらないよ」
海人「…。俺と別れてほしい」
もしかして修羅場?私ここにいたらダメじゃん。なのに足が動かない。
花梨「最後に1ついい?私のこと好きで付き合ってくれた?」
海人「……。誰でもいいんじゃない。花梨だからいっかなーって。」
花梨「そっか、今までありがとうね。海人は他に待ってくれてる人いるでしょ」
静かにうなずく海人。
「がんばってね」そういって涙ながらに、立ち去る花梨。
ため息をついて花梨とは逆方向へ立ち去る海人。
そんな二人を木から見ている私。
私って最悪なやつじゃん…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。