第9話

記憶
965
2021/05/18 14:41
あれから、俺は悪夢に悩まされていた。






あの時緑谷のことを簡単に殺そうとした俺が






まるで両親の移し鏡のようで…











鏡に映る俺は酷い顔をしていた






『あぁ、俺は腐ってもこの家の人間か』







自分が思った以上に弱々しい声に驚く













俺はなんな奴らになりたくない…







鏡には両親の血塗れの亡霊が見える





«お前は俺たちの子だ»



«私達と同じようになる»







それを見ると背筋がゾッとする









『俺は!!』



いき良いに任せ鏡を殴るとヒビが入る












『お前らみたいなヘマはしない』









その顔を父親そっくりだった。












俺は、洗面所から移動し









姉の部屋を見に行った。








12年ぶりの姉の部屋












部屋からは、異臭がした。







部屋のあちらこちらには、黒いシミ














『血か…』







この部屋で姉がもがき苦しみ













俺に助けを求めてくるあの時の場面がチラつく











⦅助けてあなた君!⦆









今でも聞こえるこの声














『違う、過去に囚われすぎてんだ…』




姉の部屋の真ん中にしゃなむ









そして


















『記憶ってのは厄介だな』

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