第3話

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2021/04/26 22:45
俺も姉も、個性が出るまでは幸せだった。



『ま、待って!お姉ちゃん!』





「もぉ!あなた君は、男の子のくせにあしおそーい!」

と、プンプン怒っている姉。




『そこで、男なんて関係ないだろ!』





「そんなんだから、いつもかけっこで負けるのよ!」

あっかんべーを俺に向かってしてくる姉。





『いいもん!俺はお姉ちゃんより顔良いから!』




そんな会話を聞き笑う両親。













ある日…













この幸せが全て崩れ落ちた。






『お、お母さん。お父さん。僕の影が動くんだ…』




両親は、驚いた顔をした。





そう、俺の個性が分かった日。






しかし、次の瞬間













俺を見て不敵に微笑んでいた。



『え…?』




その目は…
















捕食者の目をしていた。












そして、この日から腐っていった。




「お母さんやめて!!」
泣き叫ぶ姉。



「大丈夫、後で壊れても治してあげるから。」
無表情のまま鞭で姉を叩く母。



「刺激を与えたら個性が出ると聞いたからなぁ」
難癖つけて姉を自分のおもちゃにする父。








そして、俺は…






助けを求め泣き叫ぶ姉を









「た…す、けて…!あなた…君…」








『お、…お姉ちゃん…?』










ただ呆然と姉と両親を交互に見ていた。







あの時の俺は














何もかもが、壊れるのが怖かったんだ。














徐々に壊れていく姉を













傍で見ながら














俺は悪くないと…














そんな、腐った考えしか俺にはなかった。

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