テレビをつけて、眺めながら今日が休日なのを改めて感じる。
明日から、インターンだ。めんどくさい。
俺のインターン先は、街の清掃をする地味な事務所だ。
ヒーローというよりボランティアに等しい。
なんで、こんな場所でしてるか、それは…サボれるからだ。
テレビからヒーローが、インタビューを受けて答えているのをソファーで寝転びながら聞きていた。
“悪い敵は、俺たちヒーローが倒します!”
テレビに目線を送った。
『誰が、悪いって?なんで決めつけるんだ?』
零《ヒーローは、正義なんだよ。そりゃ、敵は、悪だからいらないっていう事だよ。》
『ヒーローでも、他者を傷つけることがあるだろ。それは、悪じゃないのか?』
零は、体を揺らしながら答えた。
零《人間は、都合のいい頭と耳、目を持っているから、悪い方に考えないんだよ。でも、どうしたの?兄さん》
『俺は…いや。俺達は、いつヒーローに助けられるんだろうな』
零《助けてもらいたいの?》
『時々考えるんだ。姉さんの事…』
零《それまた、どうして?》
『次会ったら、俺たちを見つけだしてくれて助けてくれる気がするんだ。』
零《手を取るんだね》
『俺たちは、充分絶望し、苦しんだ。これ以上絶望することは無いし、苦しみ事も無いって俺は思う。』
零《世の中そんな簡単にいかないよ》
『知ってるよ。だから、俺たちは自由になりたいんだ。』
零《自由になっても何も意味なんてないよ》
その言葉が少し引っかかったが、もうこれ以上辛いことなんて起きないそう信じていた。
あと少しで
絶望に染まるというのに…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。