第16話

秘密
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2021/10/03 00:07
『くっそ…胸糞悪ぃな…』


自分が見たものが一体なんだったのか考えながら手に持っていた古びたノートに気がつく。



『そういや、咄嗟に持ってきちまったな。』



リビングにあるソファに座りノートの1枚目を開く。




『“個性生産”??んだこれ…!!』


ノートには、個性生産と言う。まだ個性が発動していないであろう子どもを対象にした人体実験の記録が記されていた。


子どもの無惨な姿で写っている写真や、どのような実験を行ったかなどが細かく記されていた。





ページを巡るスピードがだんだん早くなるが、ピタリとその手を止めた。






それは、ある1つの子どもの実験記録に目が止まった。





タイトルには、“暗闇を生きる少年”と書かれていた。







実験の内容は、こうだった。


“少年は、個性が出現するまで窓がなく、明かりもない暗闇の部屋にずっと閉じ込め、その経過を記録していた。”





1日目

少年は、怖がっている様子なく言うことを聞き自ら部屋に入っていった。
健康状態 良好。


2日目

こちらから、語りかけても返答なし。我々が、部屋に入り少年を見つけるのは、危険だと判断し様子を見ることにした。
健康状態 不明。


3日目

少年の所に食事を届けに部屋に入って行った職員が1人数時間たっても戻らず。中で何が起こっているのか分からないが、実験は実行する事に。
健康状態 不明。
行方不明者 1名


4日目

部屋の扉を開けるとそこには、食べられた後の食器と━━━━━━を発見。無事回収することが出来た。
健康状態 不明
死亡者 1名
死因 ━━━━━━━━━。




『ここから字が滲んで読めねぇ。』



5日目

朝早くに少年が、悲鳴をあげていた。職員が3人で少年の容態確認へ。
数時間後、戻ってきたのは職員の医者1名のみ。戻ってきたあと、医者の様子がおかしく別室にて隔離。その数分後、医者は口や目や鼻から黒い液体を出し死亡。

我々がパニックになっていると、部屋から少年の笑い声が聞こえた。



『少年の観察じゃなくて、職員になってんじゃねぇかよ』



6日目

職員に被害が出始めたため、子どもを使うことになった。子どもを2人檻に入れ鎖で繋ぎ扉付近に設置。



『檻…?鎖…』





その時背筋が凍りついた。




俺が、さっき地下で見た檻に入った子どもの亡骸。











『ここが、実験施設だったのか…。』





冷静になり、次のページをめくる。





『あれ、破られてやがる。』





ん?待てよ





少年の写真がない。なぜだ?

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