また、この地下室に行くのかと考えると気分が悪くなる。
実験記録を手に…俺は階段を降りていった。
吐きそうだ…。
俺は個性を使い『暗闇を生きる少年』を探した。
それは、すぐに見つかった。
彼が居たであろう場所は、血生臭かった。
自分の足音しか聞こえない。
どんどん進んでいく。
そして、黒いベットを見つけそれに触れると
『うっ』
突然の頭痛に襲われる。
何かがフラッシュバックするような…
〈この子は危険だ!今すぐ処分するべきだ!〉
〈いいえ!彼は━━━━━━に対抗出来る逸材です!〉
〈こんな事をしていれば、俺たちが殺される!〉
〈では、彼に…〉
近づくな…
こっちに来るな…
『やめてくれ!!!!』
額から汗が流れ、涙が落ちていく。
俺は…
いや…
『俺が、暗闇を生きる少年…だったのか…?』
震える体を抑えながら、自分が小さくなっていくのが分かった。
俺はなんで、覚えていなかったんだよ…。
《やっと思い出したのかよ…》
そんな不吉な声が聞こえた気がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!