気がついたら寝ていた。固くて冷たい床……。
真実を知った俺は、これからはヒーローとして進むことはできないのだろうか……。
『……今日、合同訓練だったのにな…』
乾いた笑い声が、地下室に響き渡る。
『ヒーローを頼るのが1番いいだろうな…』
そう呟くと零が言った。
零《兄さんが、しっかり仇を撮った方がいいんじゃない?ま、俺、ヒーローとか嫌いだから…》
『ヒーローが嫌いなのか?』
驚いた、ヒーローは全ての人の憧れだと思っていたから。
零《ヒーローは、俺たちを助けてくれなかった。だいたい、俺らをあいつらに渡したのはヒーローじゃないか!》
『え?』
凄まじい恐怖心が溢れ出した。
その言葉でヒーローに対しての嫌悪感を抱いてしまった。
学校に行き合同訓練に備えるために準備をする。
相澤先生が何か言っている……。誰だ?あの紫色のやつ。
相澤先生が俺を呼んだ。
相澤「お前、今まで何してやがった」
1年生の目の前で説教されるのか……。朝零からあんな話を聞いて気分が悪い。
『体調不良です』
相澤「学校に連絡しないでどうする合理的じゃないな」
『俺、親居ないんで。一体誰が学校に連絡するんですか』
なんだろう……全て……どうでもいい。
目の前にいるこいつも、俺の事を嘲笑う年下共も……。
零《壊しちゃう?》
いや、まだだ……
相澤「お前にはペナルティとして、1年全員と最後に相手してもらうからな。」
『はい。』
俺はやっと相澤先生の顔を見た。その時、相澤先生は驚いな顔をし……。
相澤「お前……」
『それでは、失礼します。』
次々と対戦が終わっていく。
何だか嫌な予感がして俺は待機室から飛び出した。
『緑谷……暴走してるのか……?』
零《助けるの?》
『あいつは良い奴だからな』
零《……わかった。俺に任せて》
個性が暴走している緑谷の体に零が巻き付きこれ以上暴れないようにする。
零《兄さんの個性も使ってよ。こいつ力強い……》
俺の個性??
今は考えないでおこう。
確か、紫髪の子は洗脳個性だったな。
『おい、緑谷に個性を使え』
後ろから声がしてびっくりしたようだが…。
「俺と戦おうぜ」
緑谷「うん!」
緑谷は、意識を失う。
俺は、緑谷の近くにいた奴らに聞いた。
『お前らは何になりたい』
それは、聞かなくても分かるものだった。
❝ヒーロー❞
ここまで、必死になって仲間を命懸けで助けようなんて思えるこいつらは本当のヒーローなんだと確信した。
それと同時に、俺は悟った。
ヒーローになれない半端者だってことに。
零《兄さんには、向いてないんだよ》
『そうだな……俺には向いてないんだろう』
そして、俺の訓練が始まった。
しかし、それは開始して1分足らずで1年全員が戦闘不能になった。
零《ここでヒーローの卵を蹴散らすのも楽しいね》
と笑っているような気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。