しばらく、じんの診察が終わるまで私は病院をうろちょろしていた。
すると、ちょうど私の前で缶ジュースが止まった。
『………?』
👩「すみません、!」
そう言って急いでそれを取る母親らしき人。
👩「てひょん!!ちゃんと手に持ってないと落ちちゃうでしょ!!」
🦁「……うぅ、ごめんなさい」
そう言って泣きべそをかいて母親の手にひかれる小さなまだ5歳ぐらいの男の子。
なんとなく顔が整っていて、きっとこの子はモテるだろうな……なんていらない考えが頭をよぎった。
『…………』
『あの』
👩「?はい」
『誰かのお見舞いですか?』
👩「あ、ええ笑 この子の1番上のお兄ちゃんがちょうどここの病室なので笑」
『そうですか……』
そういえば、ここは じんしかいない病室。
👩「でもきっと……」
『?』
👩「あの子は私達を知らないだろうから……」
そう言って静かに、また、どこか寂しそうに微笑む母親。
『ッ……』
胸がはち切れそうなのを必死に抑えて
『………きっと大丈夫です』
なんて、今はそんなこと言えない、言っちゃいけないと分かっているけれど
口走ってしまった。
少しびっくりしたみたいな母親は少しだけ黙り込んでから
👩「そうね、そうよねッ!!」
なんて少し目に涙を溜めながら話した。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。