おーい20番、お前に差し入れだ。
わしに?どなたからですかの?
あれ?アーシィ……もしかして今日がなんの日かわかってない?
?
チィーの言葉を聞いてもアーシィは気付いていないようで不思議そうに首を傾げた。
今日は2月14日、バレンタインだよ。
おぉ、そうじゃったか。
なるほどそれで………
アーシィはチラリと視線を部屋の隅にやり
リャンが引き込もっておるんじゃな。
移送用の赤い棺を見やった。
ったく!毎年毎年贅沢な野郎だな。
美人からこんなに贈り物されてるってのに。
まあまあ。リャンの分はわしが預かっておきますので。
あ、あと71番への差し入れは検閲に引っ掛かったからな。
え?
カミソリの刃やら異物が入ってたせいでな。
それを聞いてウパはドン引き、アーシィもやれやれと呆れを隠せない。
アナタどれだけ女性に恨まれてるんですか?
年々記録を更新していくのう。
南波からでたら殺されるんじゃないですか。一生ここにいたらどうです?
…身の安全の為にはそうした方が良いやもしれんなぁ。
ちょ、アーシィまで酷いっ!
自業自得じゃろうが(ぺしっ!)
痛っ
アーシィはチィーの額を軽く叩いた。
そのいつものやり取りを見ながら猪里は
まぁ71番のことは置いておくとしても20番はどうすんだ。その大量の菓子。
何気なくそう尋ねた。
?
勿論全て食べますが。
は?この量をか!?
当然じゃ。女子が心を込めて贈ってくれたものを無下には出来ませんでの。
71番たちと食うんじゃなくてか!?
?そうじゃが……
段ボール5箱分の菓子を見ながら猪里は顔を引きつらせた。
凄いですよね。これだけの量食べても身体になんの異常も起こらないなんて
いやいや。これでも少なくなった方なんだよ。組織と関わる前はもっと多かったんだから。
そうなんですか?
まぁ、穏やかで人当たりの良い、人気占い師だったからね。そりゃ女が放っておかないって。
チィーが肩を竦める。
で、アーシィもアーシィで色恋に疎いってか、贈り物は〝感謝の印〟みたいに思ってるから……余計に女がヒートアップしちゃってさ……。
あー……典型的な『罪作りな男』ってやつだな。
何か…話だけ聞いていればアーシィの方が女性の恨みを買いそうですが…。
その場の全員がアーシィに視線を向ける。
が。
!
おぉ、この菓子は花茶に合いそうじゃの。わしの好みを知っておってくれたとは…有難いのう。
ほわほわと花を飛ばしながら好好爺のような笑みを浮かべる29歳に
『あれじゃあ毒気も抜かれるな』
と3人の心がひとつになったのだった。
了
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。