第9話

マジギレお爺ちゃん
803
2020/12/23 17:47
チィー
チィー
ーー俺はアンタを絶対許さねぇ。
チィー
チィー
アンタ達だけは絶対…。
チィー
チィー
お前は俺が倒す。
========

「この裏切り者がぁああ!!」

八萬の太腕がチィーに向かって降りおろされる。
ガッ!!
チィー・ウパ・リャン
チィー・ウパ・リャン
!?
チィーが吹き飛ばされることはなく、目の前に立っていたのは
チィー
チィー
アーシィ!?
アーシィ
アーシィ
すまんのう。どうやら今回お主たちの出番は無さそうじゃ。
アーシィはそう言ってチィーの頭をポン、ポンと撫でた。
アーシィ
アーシィ
お主たちは今までよう耐えて生き抜いてきた。
アーシィ
アーシィ
痛みも苦しみも理不尽も…。
アーシィ
アーシィ
じゃが、もう耐える必要はないんじゃ。その能力チカラを汚すこともない。
アーシィ
アーシィ
それは『己を高めるために』、
『誰かを癒すために』使え。
アーシィ
アーシィ
お主たちにはもうそれが可能なのじゃから。
そう言って優しく微笑んだ。



「ーーークククッ。随分と泣ける話じゃねぇか、
アーシィ………。」
アーシィ
アーシィ
………。
「可愛い可愛い孫のために自ら俺に殺されにきたか?それとも自分の命を差し出してコイツらの命乞いか?」
アーシィ
アーシィ
………黙れ。
「どちらにせよ俺に袋叩きにされることには変わりねぇがなぁ。」
アーシィ
アーシィ
黙れと言うとろうが…。
「戦う力も持たねぇ占い師風情が…俺に楯突いてんじゃねぇ!!」

ドゴォッ!!
「がっ………!?」
チィー・ウパ・リャン
チィー・ウパ・リャン
!?!?
アーシィ
アーシィ
『戦う力も持たん』じゃと?お笑い草じゃなぁ。貴様が『占い師風情』の力量も解らなんだとは。
そう言って自らが吹き飛ばした巨体を無表情で見据える。
アーシィ
アーシィ
のぅ………八萬。
そして無様に地に伏せた八萬の姿を見て嗤った。
アーシィ
アーシィ
貴様に良いことを教えてやろう。
『占い師』というものは誰より人を見通すことに長けておる。
それこそ貴様よりもずっと、な。
バゴンッ!!
アーシィ
アーシィ
じゃからわしは貴様に悟られぬよう、『周りに合わせて』生きてきた。
ドゴンッ!!
アーシィ
アーシィ
じゃが、それも今日で仕舞いじゃ。
ガァンッ!!
アーシィ
アーシィ
貴様が今まで他人にしてきたように
ドォンッ!!
アーシィ
アーシィ
今度はわしが貴様に
地獄を見せてやろう………。
========
チィー
チィー
……………。
リャン
リャン
おい、どういうことだ……。
ウパ
ウパ
『アレ』は本当にアーシィ…
なんですか……?
あまりにも一方的な暴力、といっても過言ではないアーシィの力に茫然とする。
リャン
リャン
〝八卦掌〟〝截拳道〟〝八極拳〟を独自に組み合わせたような戦い方…いや、もはや『戦い方』ではないな…。ただの殺し方だ。
ウパ
ウパ
アナタ、知っていたんですか?
チィー
チィー
ハハ…まさか。
目の前で繰り広げられる惨劇に背筋が凍る。
チィー
チィー
俺だってあんなアーシィ……
今まで見たことないよ。
それほどアーシィの感情の爆発は苛烈だった。

========
アーシィ
アーシィ
………さて。そろそろかの。
アーシィ
アーシィ
チィー、ウパ、リャン。
チィー・ウパ・リャン
チィー・ウパ・リャン
アーシィ
アーシィ
ブタはミンチになったぞ。
後はお主たちが煮るなり焼くなり好きにするが良い。
アーシィ
アーシィ
まぁ、煮ても焼いても食えたものではないだろうがの(笑)
いつもの調子に戻ったアーシィに強張っていた肩の力を抜いて歩み寄る3人。
チィー
チィー
………殺してない、よね…。
アーシィ
アーシィ
まぁの。
コレの末路はお主たちに任せようと
決めておったし…。
アーシィ
アーシィ
ただ…息の音を止めるならわしが
殺るが。
アーシィの発言に再びゾクリとしたものを感じつつも、
チィー
チィー
じゃあもういいよ。
そう言ってコツリとアーシィの肩に額を乗せる
チィー。
リャン
リャン
そうだ、アーシィ。アーシィは先程俺たちにその能力チカラを汚すことは無い、と言ったな。
リャンもアーシィの腕を掴む。
ウパ
ウパ
そっくりそのままその言葉を返します。貴方が自分を汚す必要なんてないんです。
ウパが俯いてアーシィの服の裾を握った。
アーシィ
アーシィ
…………そうか。
心配させてすまなかったの。
チィー
チィー
いや………。
あとは俺の薬で動けなくしておくよ。
アーシィ
アーシィ
わかった。
アーシィ
アーシィ
………チィー、ウパ、リャン。
チィー・ウパ・リャン
チィー・ウパ・リャン
アーシィ
アーシィ
必ず、生き直そう。南波刑務所ここで。
チィー・ウパ・リャン
チィー・ウパ・リャン
うん(あぁ)(えぇ)。
4人は再び笑い合った。

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