病院にて
都奈恵【私にはね…娘と息子が…居るの…けど、昔…子育てに…嫌気が差して…子供と旦那を置いて出て行っちゃった…2年後戻ってきたら…旦那は事故で死んで…子供は別の人に引き取られたって…探そうかと思ったけど新しい絆を…壊したくなかった…。あの子達が小学生になった頃…気が向いて日本舞踊を見に行ったの…そしたら一瞬だったけど二人の子どもが出てきたの…その時母親の感?…絶対あの子たちだって思ったの…急いでパンフレットを買って見たら…名前は変わっていたけど私の子どもたちだった…美姫と幸だった…あの時は嬉しくてズッと泣いてたな…それから噂で夢ノ咲に行ったって聞いて…一度だけ会いに行ったの…幸は幼すぎて…私のこと覚えてなかったけど…一緒にお茶して少しの時間だったけどお話ができた…あの子旦那に似てハンサムだったわ…姉の美姫には拒絶されてあんたなんか知らないって…私に似て気が強いは…ただやっぱり美姫だなって…あの子ね昔から泣くときに…唇を噛む癖があるの…まぁ、泣かせたのは私なんだけどね………あの時あんなことを言うつもりじゃなかったの…ただ、仲直りがしたかっただけ…本当だめな母親だね…最後にあの子達の笑顔が見たかったな……】
最後にその言葉を残し数値は0へと変わった
私の目が熱くなってきた
真波はふるびたパンフレットを取り出す
制服のポケットから包装しリボンが巻かれた箱と2つに折られた紙を取り出す
私は起き上がり受取り丁寧に包を取っていく
私の目からは涙が溢れ出して来る
ママが出ていく前日にママに話したんだ
美姫【ママ!私もママみたいなネックレスが欲しい!】
都奈恵【これ?】
美姫【うん!】
都奈恵【これはだぁーめ!このネックレスはパパが初めてプレゼントしてくれたものなの!】
美姫【え〜!欲しい!!】
都奈恵【じゃぁこれはあげられないけど、ママから美姫にプレゼントしてあげる!いつもお姉ちゃんとして幸の面倒見ていてくれるからね!】
美姫【本当!やったー!】
ついこの前の出来事のように鮮明に思い出が溢れてくる
どうしてあの時冷たい言葉で突き放してしまったのだろうか
とうしてあの時少しでも話し合おうと思わなかったのだろうか
私は震えた指で2つに折られた紙を開けた
開けた瞬間声を出して泣いた
子どものように泣いた
【あなたはいつまででもママの娘です】
ただ一言そう書いてあった
二人が居るのも気にせず泣き続けた
そんなふたりは私の泣く姿を見てあえて何も言わず私が泣き止むのを隣でずっと待っていてくれた
私は涙を拭き取り、急いで本家へと向かった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!