第43話

最後の言葉
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2021/07/14 08:11
病院にて
都奈恵【私にはね…娘と息子が…居るの…けど、昔…子育てに…嫌気が差して…子供と旦那を置いて出て行っちゃった…2年後戻ってきたら…旦那は事故で死んで…子供は別の人に引き取られたって…探そうかと思ったけど新しい絆を…壊したくなかった…。あの子達が小学生になった頃…気が向いて日本舞踊を見に行ったの…そしたら一瞬だったけど二人の子どもが出てきたの…その時母親の感?…絶対あの子たちだって思ったの…急いでパンフレットを買って見たら…名前は変わっていたけど私の子どもたちだった…美姫と幸だった…あの時は嬉しくてズッと泣いてたな…それから噂で夢ノ咲に行ったって聞いて…一度だけ会いに行ったの…幸は幼すぎて…私のこと覚えてなかったけど…一緒にお茶して少しの時間だったけどお話ができた…あの子旦那に似てハンサムだったわ…姉の美姫には拒絶されてあんたなんか知らないって…私に似て気が強いは…ただやっぱり美姫だなって…あの子ね昔から泣くときに…唇を噛む癖があるの…まぁ、泣かせたのは私なんだけどね………あの時あんなことを言うつもりじゃなかったの…ただ、仲直りがしたかっただけ…本当だめな母親だね…最後にあの子達の笑顔が見たかったな……】

最後にその言葉を残し数値は0へと変わった
私の目が熱くなってきた
螢木真波
螢木真波
それでねお医者が鞄の中にあったものを渡してくれたんだ
真波はふるびたパンフレットを取り出す
螢木希月 ホタルギキヅキ
螢木希月 ホタルギキヅキ
これって…
螢木真波
螢木真波
懐かしいね僕たちの初舞台のパンフレットだよ
螢木希月 ホタルギキヅキ
螢木希月 ホタルギキヅキ
こんなボロボロの…馬鹿じゃないの…
螢木真波
螢木真波
それとこれは希月ちゃんのだと思うんだけど
制服のポケットから包装しリボンが巻かれた箱と2つに折られた紙を取り出す
螢木希月 ホタルギキヅキ
螢木希月 ホタルギキヅキ
…!
私は起き上がり受取り丁寧に包を取っていく
螢木希月 ホタルギキヅキ
螢木希月 ホタルギキヅキ
もぉ…本当あの人は馬鹿だな…私高校生だよ…ガキじゃないんだから
私の目からは涙が溢れ出して来る
逆先夏目
ネックレス?
螢木希月 ホタルギキヅキ
螢木希月 ホタルギキヅキ
うん…このネックレスは…
ママが出ていく前日にママに話したんだ

美姫【ママ!私もママみたいなネックレスが欲しい!】
都奈恵【これ?】
美姫【うん!】
都奈恵【これはだぁーめ!このネックレスはパパが初めてプレゼントしてくれたものなの!】
美姫【え〜!欲しい!!】
都奈恵【じゃぁこれはあげられないけど、ママから美姫にプレゼントしてあげる!いつもお姉ちゃんとして幸の面倒見ていてくれるからね!】
美姫【本当!やったー!】
ついこの前の出来事のように鮮明に思い出が溢れてくる
どうしてあの時冷たい言葉で突き放してしまったのだろうか
とうしてあの時少しでも話し合おうと思わなかったのだろうか

私は震えた指で2つに折られた紙を開けた

開けた瞬間声を出して泣いた

子どものように泣いた
【あなたはいつまででもママの娘です】


ただ一言そう書いてあった
二人が居るのも気にせず泣き続けた
そんなふたりは私の泣く姿を見てあえて何も言わず私が泣き止むのを隣でずっと待っていてくれた
私は涙を拭き取り、急いで本家へと向かった

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