さとみ side
ピッ ピッ ピッ ピッ
あれから 4日が経った
君はまだ
白いベッドの上
馬鹿だな
俺を助けて
トラックに引かれるなんて
早く会いたい
声聞きたいよ
馬鹿 , …
目が覚めない彼の手を
ぎゅ ッ と握る
俺がいけなかったんだ
俺があの時 …
ちゃんと気づいてたら …
後悔しても仕方ないのに
俺の行動に あきれることしか出来なくて
早く目覚めろ馬鹿 …
俺はこの4日間
付きっきりで こいつの手を握っている
寝れるわけない
離れられるわけない
俺のせいなんだから
こ 「 … んぅ … ッ 」
…え?
俺の握った手は
かすかな 握力 を感じる
まさかと思って
君を見る
さ 「 ころん … ?? 」
君の 青色の 瞳に
はっきりと映る 自分の顔
起きた .
ころんが … ッ
さ 「 ころん!! 」
俺は 思わず抱きつく .
きみを 抱きしめたくてしょうが無かった .
それが
やっとかなった
さ 「 はぁ , ころん 、 ころん … ッ !!! 」
強く強く 、 痛いという程に 抱きしめる
ちゃんと生きていたことにもう 感動を覚えていた
… だが俺は
次の発言で
全てを悟った
こ 「 … あの … ッ
誰 , ですか ? 」
俺の耳に
はっきりと入ってきた言葉だった
誰 、
俺は 何も言えなかった
1度離れる
思い返せば
俺の顔が 見えないまま 抱きしめてしまったな
と おもって
こ 「 はは , ごめんごめん , 俺だよ さとみ! 」
目をうるわせて そう言うと , やはり 手は 勝手に動きだして
ころんの手を握り
さ 「 よかったぁ … 」
そんな声を漏らす
けど君は
こ 「 えちょ … ッ ,
だから
誰ですか … !? 」
目には
知らない人として映っていた
俺がいた
な 「 あ , さとみくん 、
え 、 ころちゃん !? 起きたの !? 」
がらり 、
と 戸を開けて いつもの声を出す リーダー .
なーくん
そんな声を出していられるのも今のうちだ
そんなことを思えば 俺は 口を開く
さ 「 なーくん , こいつ 記憶 なくして … !!! 」
こ 「 なーくん ! 」
… え ??
いま
なーくん ッ て …
な 「 ころん!
やっと起きたの !? 遅いよもう!!! w 」
2人は ぎゅう、 と 抱きしめ合う
… は?
さ 「 … ころん , え、 ころん ?? w
冗談きついから、ねえw 」
軽く肩を触れる
彼は びくっとして
こ 「 え ?? , あ いや えと … ? 」
… やはり
俺の記憶が無い
その後
莉犬
るぅと
ジェル
と ,
みんなが 揃った .
だが はっきりと言えたのは
記憶を失われているのは 俺だけ .
俺の記憶だけ しっかりと無いのだ .
信じられなかった
な 「 なにか … 特殊な 記憶喪失 とか … ?? 」
る 「 大丈夫です ッ て .
きっと 頭打ったんですよ
すぐに思い出します 」
莉 「 ころちゃんに限って そんな事あるわけないよ 」
ジ 「 せやな .
とりあえず今は 待つのが ええって . 」
俺はみんなの言葉を信じて
たくさん待ち続けた
… そして、
明かされた
驚きの事実
先 「 さとみさん 、 よく聞いてください
彼は
“ 忘愛症候群 ”
です 」
もう俺は
何が何だか 分からなかった
先 「 辛い話になってしまうけど
彼は トラック に 跳ねられた時に 打った 頭 に ,
特殊な 損傷 が見られた
そして 失われた
さとみさんだけの記憶
一致するのは この病気しか ありません 」
… ま
何だかよく分からくて
さ 「 ちょ , ちょ待って下さい
それなんなんですか ? 」
空いた口が閉まることは無かった
医者の先生も
息を吸う
先 「 これは
愛している人の 記憶だけが なくなる
という 一種の 記憶喪失です. 」
… え?
愛してる人の記憶を …
先 「 さとみさん は ころんさんに愛されていたんです
だから さとみさんの 記憶だけ失われた .
そう考えられます 」
あまりにもはっきり言うから .
俺はついていけない
さ 「 … それ , 俺を思い出すことは あるんですか ?? 」
多少早口になる 俺の口 .
医者は 眉を下げる
そのあとの答えは
考えたくもなかった
先 「 … ころんさんが 記憶を取り戻す方法 は ただ1つ
さとみさんの “ 死 ”です 」
先 「 さとみさん が 死ぬことによって
自動的に ころんさんは さとみさん の 記憶を 取り戻すことができます
ですが
さとみさん が この世に 存在している限り
ころんさんが 記憶を 戻すことはありません 」
その瞬間
俺の目の前は 真っ暗になった
忘れる ?? ころんが俺を ??
冗談じゃねぇ 。
どんな夢だこれ .
嘘だろ ??
なぁ , 嘘って言えよ
馬鹿じゃねぇの…
俺は 病室で1人
君の目の前で 涙を零した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!