「 … ジェル くん . 」
「 ん ? なんや るぅと . 」
ああ .
こーやって 声をかけられるのも ,
あと 1年なンだね .
4月
莉 「 あ ~ , 俺らも や ッ と 2年 だねぇ ~ るぅとくん !」
る 「 そうだね … !
莉犬 , 何組 ?? 」
莉 「 俺 2組 !! 」
る 「 あ ~ 離れちゃ ッ た.僕 3組 … . 」
莉 「 大丈夫 だ ッ て !
隣じゃン !!! 」
… 進級初日 .
僕らは 2年生になった .
クラス表 の 前で ,
2人で 顔を見合せ 喋 ッ て いたところ …
ジ 「 るぅりいぬ !!! 」
ドキッ
… この声 …
莉 「 あ , ジェル . 」
… や ッ ぱり .
一息ついて , 振り向く 。
る 「 ジェル くん も 3年生ですか … .
心配ですね . 」
ケラッ と 笑 ッ て は そう述べる .
もう … 3年 … .
ジ 「 心配 て なんや W
せやで ? もう 卒業なンて 実感 湧かンのやけど W」
… そうだね .
僕もだよ … .
こ 「 … あ , や ッ ほ ~ 2年生にな ッ た 2人と ~
え , なんで 此処 に いンの ジェル くん w 」
桜が 舞い散る 中 ,
ころちゃん の 声 が 透き通るように 響き渡る .
ジ 「 今 この2人 の 進級祝い してたんよ !! 」
ドヤッ て そう言う 彼 .
莉 「 いや , まだ おめでとう も 言われてないけど w 」
アハハ と 笑う莉犬 .
同情する .
こ 「 ま ~ , 2人とも おめでと !
てか 僕は ともかく ,ジェルくんは 受験生 だねェ .」
ジェル くん の 方を みて そう笑う ころちゃん .
… そう .
ころちゃん に ジェルくん は
今年 3年生 .
ちなみに さとみくん と なーくん は , もう 大学生 .
この学校 の 一貫校 に 通ッている
… 普通なら この学校 , 一貫校であり ,
受験しなくても 大学へ 入れるのだが …
… 聞いた話 , ジェル くん は 他の学校 を 受けるらしい .
… 馬鹿みたいだよ .
あと1年なのに .
自分の気持ち も 未だ 伝えられないなンて .
る 「 … .」
こ 「 … ??」
5月 .
な 「 や ~ ッ , るぅちゃん も 先輩 に な ッ た んだねェ ~ w 」
食堂 にて .
一緒に話している のは
なーくん .
る 「 そうですね … . とはい ッ ても , 後輩との 繋がり ッ て あんまり ないンですよね .
自分のことで 精一杯でして … w 」
な 「 あ ~ , そうだよね .
大変だね ~ …」
もう 大学生 の 彼は , 僕の気持ち に 寄り添ッて 話を 聞いてくれる .
いつだ ッ て そうだ .
本当に頼り に なるというか … .
僕も , 片想い のことを この人 に 言 ッ ても いいンじゃないか .と 思 ッ ているのだが … .
中々 言い出せないもので .
… 誰にも 言 ッ たことがない , この気持ち .
どうしたらいいんだろ .
あと1年しか ないのに .
6月
る「 … 誕生日 , か … 」
カレンダー の 前で 睨み合う 自分 .
来月は ジェル くん の誕生日 .
好きなのに , 何が欲しいとか , 何が 好きとか ,
意外と 知らなくて .
我ながら 呆れたものだ .
どうしよう . そう思 ッ たとき .
トゥルルルル .
る 「 … ん ?? 」
スマホ が 鳴る .
手に取る と , 電話先 は さとみくん だ ッ た .
る 「 はい . 」
何の用か と ,
電話を 取り そう 言うと ,
“ るぅと !!!
10分以内 に いつもの 公園な !!!
じゃ !!! ”
ブツンッ
… はい ??
え , え ??
何が何だか 分からなか ッ たが , とりあえず 公園に 向かう .
… あ , いつもの 公園 とは ,
この 6人 で 相談事 や , 話し合いたい時 .
勿論 ただ 遊ぶ時も ,
大体 の ことを してきた ,
全員の 家から 大体 平等に 近い 公園 である .
僕は 必要最低限 の もの を 持つと , 公園 へ 向かう .
息を切らし , 到着しては 公園 を 覗くと ,
そこには さところ の 姿 が .
る 「 … あ , あの … . 」
その ひと声で , 2人は 一斉に 此方 へ 目線を 向ける .
こ 「 あ , るぅとくん ~ 」
ブランコ に 座 ッ た ころちゃん に 手招き される と , 僕は 早歩きで ころちゃん の 方へ 向かうと ,
“ な , なんですか … ? ”
と いかにも 不審が ッ た 声で そう言うと ,
ころちゃん と さとみくん は 顔を見合わせる.
なンの事やら .
さ ッ ぱり 分からない .
すると 2人は クスッ と 笑う .
次に 口を開いたのは さとみくんだ ッ た .
さ 「 … なァ , お前 ジェル の事 好き ? 」
… え
ボッ
と 音が 聞こえる 程に ,
僕の 顔は 真 ッ 赤に なる .
何故 そのことを … !?
こ 「 ぶは W
図星じゃン さすが 僕 W 」
る 「 … え ? え ?? 」
ポカン と する僕に ,
さとみくん は 全てを 説明する .
さ 「 いやさ , ころんが , 最近 るぅとくん が ジェルくんの 話に なると 黙り込むことが 多くて , とか 言うからサ .
もしかしたら ~ ッ て 思って .
にしても 好き か 嫌いか ど ッ ち か かな ~ ッ て 思 ッ たから w
好きなんやね ?? w 」
… な .
な … ッ !!!
る 「 いッ , 言わないで下さい … ッ !!! 」
僕は その一心で , そう叫ぶ .
なんで , そんなに 顔に出てたかな.
もしかして 本人にも バレて … !?
こ 「 … ふは w 大丈夫 , 言わないよ .
僕らは 協力 したい だけだよ W 」
… え .
こ 「 分かるよ . 男 好きになる ッ て , 不安だし , 怖いし , 自分に 自信持てなくな ッ て .
… けど , 好きにならなければ よか ッた なんて 思ッて 欲しくない 。
だから … ね . 」
ころちゃんは さとみくん を 見上げ , フッ と 笑う .
さ 「 ころん … .」
こ 「 僕ら が 付き合 ッ てるの 知ッてる でしょ ??
アドバイス とか 出来ることあったら 言うよ ッ !
ああ見えて ジェルくん , 鈍感だしね w 」
… いつもの ころちゃん とは 打 ッ て変わ ッ て 頼もしいことを 言う .
… 素直になれ .
自分 .
素直になれ .
ここで 素直になれなくてどうするの .
言え…
言うんだ自分 … ッ !!!
る 「 …ッ …
どうや ッ たら ,
振り向いて貰えますかね … ッ … ?
僕でも …
好きにな ッ て 貰えるのですか … ?」
きゅうう と 締め付けられる .
こんな事を 言ッたのは
初めてで .
2人は 笑う .
さと . ころ
「 勿論 ッ !!! 」
僕は ,
この日から アプローチ を すると ,
決めた .
遅か ッ たよね .
でも 僕 ,
君を 諦めきれないんだ .
例え
振られたとしても .
7月 .
買 ッ て , しま ッ た … !!!
ジェル くん への … ッ
誕生日 プレゼント … !!!
さとみくん に ころちゃん の サポート も あり ,
や ッ と 買えた , プレゼント .
中身 は ネックレス .
… き ッ と , 2人がいなかッたら ,
絶対に 買おう なんて 思えていなか ッ た .
… だから ,
せめて
自分 に 自信が 持てるように … .
ジ 「 … るぅと ? 」
る 「 わ !?」
背後に 現れたのは , 本人 .
ジェル くんだ .
そういえば …
ジェル くん を 呼び出していたンだ ッ た … .
まずい … , 急すぎて 心の準備が … !!!
… 咄嗟に ネックレス の 入った 袋 を 隠す .
ジ 「 … ?? どしたん るぅと .
用 が ある ゆうから 来てやッ たんに . 」
ドクン ,
ドクン ,
ドクン ,
ドクン ,
… 言うんだ . るぅと .
今しかないよ .
どうしよう 声が出ない .
る 「 … ッ , 」
震える .
声が 出ない .
どうしよう , ころちゃん , さとみくん … !!!
な 「 あ , お ~ い !!! ジェル く ~ ん !? 」
ビクッ
ジ 「 … え , なーくん !?」
空の方から 聞こえた なー君の声は ,
校舎 の 窓から こちらを 覗いていた .
な 「 あれ , るぅとくん もいるじゃん.
ごめんね 取り込み中に~
ちょっと 来て貰える ~ ?? 」
校舎 から 此方へ 一生懸命 叫ぶ なーくん.
ジェル くんも ,
“ 了解 ~ ”
なんて 返事をする .
… どうしよう. 行ってしまう .
どうしよう , どうしよう … !!!
ジ 「 ごめん るぅと …
俺行かな. 後で また 聞きに来るからなッ , ごめん! 」
ジェル くん は 自分の真横を 通り過ぎ , 走っていく .
… また 次 .
また その次 .
そうや ッ て ,
ず ッ と
ず ッ と
先延ばしにして .
大事なことから いつも 目を背けて .
僕に必要なのは
協力とか
ネックレス とか
そうじゃなくて …
る 「 … ジェルくん !!! 」
ジ 「 … え ? 」
る 「 … ッ … ,
お誕生日おめでとう ッ … !!!
これ , プレゼント です!!!」
… ほんの少しの 勇気だ .
ジェル くん は , 僕の 声とともに , こちらへ 歩み寄る .
差し出した 袋 を 受け取る と , いつもの笑顔を見せる .
ジ 「 … ほんまに?
… 嬉しい … ありがとな !!」
袋を 見せつけて , ニパッ と 笑う君 .
そして そのまま , また 走り出す.
… 言えた .
言えた … !!!
る 「 や ッ たぁ … !!! 」
喜んでくれた .
笑ッてくれた .
貰ッてくれた .
ただただ 嬉しくて …
僕は 校舎裏 で 喜びを噛み締めながら.
蝉の音を 聞いては , 教室に戻った .
8月 .
莉 「 は ァ , 夏期講習 つらァ !!!」
そう 訴える 莉犬 .
本当に 共感でしかない .
午前中から 夜まで ,
勉強漬け である .
そろそろ 体力的 にも 精神的にも だいぶ … .
そんなとき .
な 「 みてこれ !!! プール の チケット ~ ♡
皆で行こう !!! プール !!! 」
なーくん は 全員を 公園に集めると , プール の チケット 丁度 6枚分を 並べ , そう言い放つ .
一気に明るくなる 6人 .
というわけで 今日は プール に 来ている訳だが … .
さ 「 あれやろうぜ スライダー !!!
ぜッてエ 楽しい ッ !!!」
目を輝かす さとみくん .
対して …
こ 「 いやいやいやいやw
別に 僕は や ッ ても いいけど ~ !!! 絶対 おもんないて !! あんなん !! w 」
全面に 怖い と いう オーラ を 放つ ころちゃん .
ジ 「 さところは 仲ええなぁ ~ w 」
ドッキン ッ !!!
…
ジェルくん …
水着 … ッ ,
ッ て !!!
これじゃ 僕 変態みたいじゃないですか !!!
駄目だよ 僕!!
正気を取り戻せ … !!!
頬を ペチペチ と 叩く .
はぁ , なんて ため息をついていると ,
さ 「 じゃ , じぇるぅと で 乗ってね ~ !!!」
莉 「 なーくん やばいよ 高いよおおお 泣 」
な 「 大丈夫 だ ッ て ~ w」
… へ ??
気付いたら 僕らは
スライダー の 列に 並んでいた .
ジ 「 うぉ , 高いなぁ ~ … w」
そして もう
スライダー の 入口付近である .
ほんとに 高いところ .
…はい !?
え 僕 ジェル くん と 相乗り !? え !?
そんなことを 考えているのを 察したかのように ,
さところ は 僕に ウィンクしてくる .
… 嘘でしょ?? 嘘でしょ .
ドキドキドキドキ … ッ !!!
ジェルくんは ただただ 周りの景色を見て感心してる .
いや感心してる場合か (
すると 彼は , 奥の方に見える 富士山 を 指さす
ジ「 わ … , すげーよ るぅと, あれ 富士山じゃ … 」
ピト
る 「 ふぁあ !? 」
ずざざっ , と 後ずさりする .
ジェル くん は 不意打ちで 僕の肩に 手を 乗せる .
僕は それどころじゃないッていうのに … !!!
ジ 「 え , るぅとなに , そんなに 怖いん ??w 」
いやそれも そーだけど !!!
… や ッ ぱ , まだ 意識の ひとつも されてないんだな.
虚しい .
ネックレス まで 渡したのに .
少しは 意識してくれてもいいんじゃないですか … !!!
ジ 「 るぅと … ?
ほら 乗って . ほら !!! 」
る 「 んえ !?」
あ" … ッ!!!
ジェ , ジェル くん の 足に 挟まれ … !?
ガタン ,
バシャアアアアアアアン
ジ 「 うぉああああああああああああああああ !!!!? 」
る 「 わぁああああああああああああああ !!!!!! 」
…
ジ 「 ふぁ , はっはっは w
やばい 楽しいW
るぅと ?? 大丈夫か ?? w」
…
やばい
… 腰抜けた (
え 待ってやばい 立てない普通に .
え , え ?? 何が起きた ??
スライダー の ゴール付近 で 止まったまま , 動けなか ッ た .
ジ 「 … ? るぅと ~ ? 大丈夫 か … ?」
る 「 た ッ , 立てません … !!! 」
僕は 泣きっ面 で そう 言う .
足が ガクガク して ,
腰に 力が 入らない .
… その瞬間
ザパァ!!!
… っえ ,
ジ 「 ごめんて . 我慢せえ . 」
る 「 … はぇ !?」
彼は しれっと , 僕を お姫様抱っこ で 持ち上げる .
今日は 驚かされてばかりだ .
る 「 ジェルくん 降ろしてください 歩けますから … !!!」
僕は そう言う と , 強引に ジェルくん から 降りる .
… と ,
足が ガクンッ と 力が抜け ,
そのまま フラリ と 前かがみに 倒れる .
る 「 わ ッ !!! 」
ジ 「 … !!!」
ぐいっ
僕を支えてくれたのは ,
ジェル くん で .
ぎゅっと 受け止めてくれた .
る 「 …っ …!!!」
ジ 「 ばか 危ないやん , 立ててへんし… 無理しすぎやねん , スライダー 無理なら 無理ッて 言ってくれたら 良かったんに … ! 」
… 心配 を かけてしま ッ た ,
ジェル くん は いつもより 少し早口 で そう 述べる と , いつもの 笑顔を見せる.
… ずるい .
ばかは そっちですよ , ばか … .
さ 「 え るぅと !? 」
こ 「 大丈夫 !? w 」
さところ が 此方へ 駆け寄る .
る 「 は , はい 平気です … ちょっと 立てなく … w」
えへへ なんて 笑うと ,
ころちゃんは 大きな声で
“ なんかぁ , カレカノっぽいね!!! ふたり !!! ”
と 言い出す .
否定する暇もなく , ジェルくんは 一目散に ,
「 は !? あほやないの !?
やめてや ころん … !!! 」
僕は 思わず 黙り込む .
… そんなに否定しなくてもいいじゃん .
… そう 思わせたままで いいのに .
そのまま 恋に落ちちゃってもいいのに … .
9月 .
本格的に 受験モード に 突入した 夏休みを 過ぎ ,
いよいよ 学校も 始まる.
ジェル くん は 思い切り 受験モード であった .
移動教室の時
わざわざ 遠回りを して 3年生の教室を 通る .
それが 日課で .
大体 廊下で すれ違うと ,
手を振ッてくれて .
振り返して , 嬉しいな .
なんて 思うのに .
最近は 廊下にもいない .
昼休み .
借りた本を返しに 図書室を覗く .
と ,
ジェル くん がいた .
それも , 机に 突っ伏して 寝ていたのだ .
る 「 …ジェルくん … 」
僕は 思わず , 隣に座る .
2人きりの空間 .
窓からは 風が 入り ,
室内は 丁度いい気温になっていた .
… ジェルくん の寝ている 下には , たくさんの 参考書や ノート 。
努力の 証が あった .
… こんなに必死に .
何処へ 行くつもりなの ?
… ジェルくん .
サラ… .
髪の毛 を 触る .
サラサラ な オレンジの髪の毛は , 風になびいて , 太陽 が あたり , きらきらと 輝いていた .
る 「 … 好きです … 」
こんな時しか言えない
そんな僕を 許してください … .
10月 .
2年生の後半も過ぎ ,
僕は 作詞作曲 に 励んでいた .
自分のしたいことを する為に , 毎日 作詞をして .
その度に 君を思い出して , 頑張 ッ ていた .
ジ 「 るぅと いる ~ ?? 」
ガタタタタタンッ
教室の ドアの向こうから 聞こえてきたのは ジェルくんの声だった .
僕を 呼ンだ .
る 「 なんですか ッ , ジェルくん ! 」
少なからず いつもの 顔で .
ジェル くんに 話しかける .
ジェル くんは にっとわらうと ,
僕の手を 引ッ張ッては 無言で 歩き出す .
る 「 … え , ジェルくん ? 」
当然 , どこに向かっているのか分からないまま ,
僕は ジェル くん に身を任せ , 着いていッた .
そして着いたのは …
7月の あの日 .
僕が ジェルくんに 誕生日プレゼント を 渡した 場所だった .
ぽかんとしていると ,
彼は 僕が 渡した袋と
同じ柄の 袋を 僕に差し出す .
ジ 「 誕生日 おめでと . 」
… うそ …
僕は 思わず その場で ,
袋を 開ける .
すると 入っていたのは
僕が君にあげたネックレス …
の , お揃いの 色をした ネックレス であった .
僕は それを 手に取り , 固まる .
ジ 「 あれ . お気に召さなかった ?? w
ごめんて , w 俺 と お揃いやっぱ やだったかぁ ~ … 」
る 「 ありがとうございます ッ !!! 」
僕は ジェル くんの 声を 完全に 無視し ,
その言葉を 放つ .
お揃い .
お揃い … !
そう思ッただけで , 胸の奥から 暖かい 感情が 込み上げてくるのを 感じ , へら , と 笑う .
なンだか , 今なら なんでも出来そう な 気分だ ッ た .
ジ 「 … 喜んでもらえたんなら 良かったわ .
てか これ 高いなぁ !? 」
… フッ ,
る 「 え ~ ?? 全然 高くないですよォ ~
もしかして , 金欠ですかぁ ?? w 」
ジ 「 ば … ッ w ちゃうて !! しょうがないやん 忙しいねん バイト出来ひんのや !」
必死に 弁明する ジェルくん .
… ほんと , なにそれ
嬉しすぎるんだよ .
ばぁか .
11月
る 「 … ッ 」
キィィン …
と 五月蝿い ほど 鳴る
耳鳴り .
な 「 … ? どした るぅちゃん , 調子悪いん ?? 」
さすが なーくん .
後輩の 違和感に すぐ気付く .
る 「 ん ~ まあ 風邪って所ですかね .
最近 寝てないので … あはは.」
心配してくれるけど …
心配されている場合じゃないんだ …
もう 11月 .
最近は 全く ジェルくん に 会えないし , 自分も忙しいし , 色んなことが 精一杯 .
なにを 優先すべきなのか 。
そう考える 度 に , なんだか 頭が回らなくな ッ ていた .
る 「 げほっ ごほ … 」
咳まで出てきて , 熱も 少し出てくるようにな ッ た 今日この頃 .
オール は ここの所 2日続いている.
休んでる暇などないのに
休みたいという気持ちが最近は勝ッている .
フラフラ と 廊下 を 歩く .
保健室 … 保健室 …
せめて 熱でも 測ろうと , 保健室 の 階を 歩いていると
ジ 「 … あ , るぅと ~ 」
目の前には ジェルくん がいた .
目の前にいるのに 声をかけられるまで 気付けないほど
弱 ッ ていることを 自覚すると ,
ジェル くんの 声を聞いて , 力が 抜ける .
ジ 「 … !!! るぅと !!!」
ガタァン !!!
廊下で 2人で倒れ込む
ジェル くん は 息を切らして ,
懸命に僕の名前を呼ぶ .
ジ 「 るぅと !!! るぅと !!! 」
あんなに 愛おしく聞こえる 君の声 .
今だけは …
すごく遠く聞こえた … .
…
る 「 ん … ッ … 」
目を開けると目の前に見えるのは
電灯の光 。だった .
次に見えたのは …
ジェルくん .
彼は ベッドの横で 椅子に座り , 窓によりかかって 眠りについていた .
… 君の前で倒れるなんて ,
僕としたことが 気を抜いていた .
まだ 起き上がると クラクラ とする .
… でも
ここに居てくれたんだね .
いままで .
る 「 … ありがとう … 」
ジ 「 … んぁ … ? 」
ドキンっ
る 「 … あ ッ , ジェルくん …」
君は 僕の 顔を 目に映すと ,
ハッとしたように 我に返る .
ジ 「 … るぅと ??
だ , 大丈夫 !?
お前 俺の前で 倒れたんやで!? 」
る 「 … 大丈夫です .
ちょ ッ と 睡眠不足 ですよ . 」
心配させないようにと ,
ニコッと笑う .
ジ 「 … ほんま , あほやんな.」
… え ,
る 「 な , … 」
ジェル くんは ため息をつくと ,
ジ 「 どーせ , 徹夜続きやったんやろ ?
… だめやで .
るぅとが倒れたら , …
俺が寂しいし … 」
…え
る 「 … さみし … ??」
ジェル くんは ハッとして
ジ 「 … な , なんでもないで !!! あ , いや … ッ
と , とにかく !!!
今日は はよ寝るんやで !? 」
そう言い放って ,
保健室から 出ていく .
寂しい …
きゅうううぅぅん
寂しいッて何 !?
嗚呼 可愛い !!!
しかも 待ッて 嬉しすぎるぅ 泣
… 少しは
意識 , してくれてたりする … のかな .
12月
冬 . 真 ッ 盛り .
体調不良も 無事 治り ,
元気に作詞作曲中である !!!
… 今年ももう終わり .
来年は … いよいよ
卒業.
自分じゃないけどねw
… でも , 自分の事のように大切で , ドキドキして , そわそわして .
色々 心が 忙しい .
… 告白するなら
ここから 4月までの
5ヶ月 .
… もし 受験に合格したら ,
もう一生 会えないのかもしれない .
そンなの 絶対に いやだ .
かといって どうやって 言ったらいいのかも分からない .
僕は 彼とお揃いの ネックレス を 握り , 思いを込める .き ッ と もう ,
会えなくなったら
僕は これから や ッ て いけないかも しれない .
なんて ,
告白 した ッ て OK されるわけないし .
もう ほぼ 100% 無理ゲー なんだよね .
… 会いたいな .
人肌恋しくなるな 。
… あ ,
クリスマス …
… そう . クリスマス .
クリスマス ッ て , 恋人たちは 一緒に いる イメージ あるし …
もしかしたら … !!!
ジ 「 クリスマス ?? 空いてるで ~ ! 」
内心 , ぱぁあ と 心が晴れる .
る 「 いっ 一緒に過ごしません … !?」
相手の目が見れないまま , 早口で そう告げる .
彼は 直ぐに
「 ええで 」
なんて 返してくれた .
… どうしよう嬉しい
一緒にいられる … !!!
どうしよう , 何着てこう.
どこ行こうかな .
何食べたいかな .
今から 考えて
ワクワク が止まらないよ … !!!
そして
クリスマス当日
それは 信じられない 連絡 と共に ,
クリスマス は 始まった .
「 ごめん るぅと … ッ
今日 急に 用事 入ッて … !!!
ごめん 今日 行けへん . ほんまにごめん … , 」
…
… そ ッ か …
しょうが , ないよね
こればっかりは …
「 いいですよ ~ ,
また 今度です ッ 」
スマホで ゆっくりと 文字を打つ .
… ぽた ,
ぽたっ
る 「 … ッ , ぅ … ッ ,」
涙は 止まらなか ッ た .
…
なんで , なんでですか …
急用って なんですか … ッ
る 「 … うううぁ ッ … 」
泣いてた ッ て ,
どうにもならないこと
分か ッ てるのに …
リンリンリン …
リンリンリン …
る 「 … 」
僕は ジェルくん と 来るはずだった ショッピングモール の 傍で 街灯に照らされながら 歩いていた .
… 夜も 用事が あ ッ て 無理 .
なんて
… しょうがないことなのに .
こうなるの 分か ッ てないといけないのに .
来年からは …
もう会えないかもしれないのに …
トゥルルルル
びくんっ
スマホ が 鳴る .
なんだよ, こんな 時に ,
電話を とる 。
る 「 … なんですか ッ
僕今忙しいんですけど !!」
相手 が 誰だかも 分からないまま そう言い放つ .
ジ 「 … 怒ッてんの … ? 」
… え ??
る「 … ジェル , く … ッ ? 」
ジ 「 … ごめん .
今何しとん ?? 」
彼の声を聞いただけで
泣きそうで
苦しくて …
る 「 … , ショッピングモール です . 」
ジ 「 ひとりで ? 」
る 「 … そうですよ !!
誰かさんが 急に 行けなくなった とか 言うから ッ …」
ジ 「 … 外寒い ??」
る 「 … . ??
寒い , ですけど …」
ジ 「 あ ~ だよな . 俺 室内 やけ 暖かい ~ ♡ 」
る 「 … 」
ジ 「 … ごめん .
悪かった .こんなに急に . ほんまにごめんな . 」
る 「 … ッ 」
いいよ ッ て ,
言えない自分が 虚しかった 。
ジ 「 … あ , なァ みて , るぅと 雪 !!!」
その声と同時に 空を見上げる .
る 「… わ ッ …!!! ホントですね !!!」
白い 雪が かすかに 降った と思えば , あっという間に 地面は 白く 染まっていく .
ホワイトクリスマス だ .
… … あれ ??
る 「 … ジェルくん …
… なんで 雪降ってる ッ て
分かったんですか ?
さ ッ き 室内にいる … ッて … 」
ザク ザ ク ザク ザ ク …
真横から 聞こえてくる 足音 .
近付いてくる 電話の声 .
ふと 隣を見ると
ジ 「 … さて .
なんでやろね ?? 」
いたのは
オレンジ髪 の 君 .
僕は 声も出なかった.
る 「 … ぇ、… ッ?? 」
彼は へらっ と はにかむ 笑顔を 浮かべると ,
ジ 「 … ごめんな .
用事とか 嘘 」
… なんで ,
意地悪 .
どうして ??
なんでそんな嘘ついたの .
そう言う前に,
何も考えずに ぼくは
ジェルくんを 抱き締めていた.
ジ 「 … るぅと、 、 」
る 「 ばか !!!
ジェルくん の ばか , なんで , なんで … ッ !!! っぅ …
ふぅぁ … ッ っ ! 」
ボロボロ に なって , ジェル くんの 胸元で 泣く.
我慢していたものが零れ落ちるように
全てを吐き出した.
ジ 「 ごめんな … 辛かッたよな . さすがに やり過ぎた . ごめんな. 」
ふわり と 撫でてくれる 君の 大きい手 .
ほんと 許さない .
… 絶対に 好きにさせてやる .
… 卒業 まで
あと 5ヶ月 .
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。