第3話

‥朝は苦手‥
13,753
2020/03/22 00:30
入学式も終わり、春休みの宿題やら早々のテストやらを済ませてやっときた昼休み。


小学校と変わらずの給食制に嫌気がさす。

お弁当ならお兄ちゃん達と一緒に食べれたのに……。

先生に言い渡された生活班、というものになるために指示通り机を合わせる。






……うわ、最悪。


国見くんとは隣の席だから、必然的に同じ班になってしまった。

あちらもあからさまに嫌な目線を送ってくる。




しかも……。
先生
先生
岩泉さん、ちょっといいか?
先生に呼び出され、なぜか空いている前の席の子の机を動かせてから向かった。
あなた

なんですか?

先生
先生
実は岩泉さんの前の席の子、体が弱いみたいでな……学校にも来れるか分からないんだ
それで、うん……言いにくいんだけど
先生は心底申し訳なさそうに言った。
先生
先生
生活班、当分女の子1人になるんだけど……
あなた

___あぁ

自分の席にくっついた机を見ると、国見くんが目の前で、国見くんの前の席のツンツン頭の男の子、その前のキリッとした目付きの男の子が座っている。
先生
先生
その……入学したばかりで本当に申し訳ないんだが……
あなた

大丈夫ですよ

正直女の子よりも、普段絡みのある異性の方が接しやすい。



……まぁ国見くんはちょっと苦手だけど。

先生はホッと胸を撫で下ろした。


給食を食べながらの自己紹介を強制され、どこの班よりも静かだったうちの班にポツポツと会話が出始めた。
影山 飛雄
影山 飛雄
秋山小の……あ、学校はいいのか
影山飛雄でふ
……でふ。
席に偏りがあるため私の隣(休みの女の子)の席に座った影山くんが盛大に噛んだ。

えっと、金田一勇太郎
……この給食のヨーグルト好きだからくれると嬉しい
ツンツン頭の男の子は控えめにそう言った。
あなた

どうぞっ

私がヨーグルトを手渡すと、目をキラキラさせた。
金田一 勇太郎
金田一 勇太郎
っ、いいやつだな!
……いいやつの基準低すぎでしょ。
国見 英
国見 英
……国見英
朝は弱いから話しかけてこないでもらえると助かる
国見くんはそう言いながら、チラッと私を見た。


もしかして、あんな態度だったのは朝だったから?

いや、だとしても悪すぎ……。


考え込んでいると視線が集まって、慌てて口を開いた。
あなた

っ、岩泉あなたです
まだ友達できてないから、仲良くしてくれたら……嬉しいです

金田一 勇太郎
金田一 勇太郎
俺仲良くしたい!
ヨーグルトくれたいいやつっ
二カッと笑った金田一くんは、とりあえず中学での友達一号だ。
あなた

ありがとうっ

影山 飛雄
影山 飛雄
……岩泉さん
あなた

影山 飛雄
影山 飛雄
あの、俺も仲良くしてもいいスか
真剣な顔でそんなことを言ってくるものだから、思わず笑った。
あなた

ふふっ
うん、もちろん!

そしてまぁ当然、3人の目線は国見くんに集まった。
国見 英
国見 英
……俺は別に仲良くは
あなた

朝は話しかけないからっ
……なるべく

金田一 勇太郎
金田一 勇太郎
俺も!
……出来る限り
影山 飛雄
影山 飛雄
多分
曖昧な約束に、国見くんは微笑したように見えた。

皆それが見えたらしく、返事は聞かなくても分かった。


とにもかくにも友達が一気に3人できた私は、次の先生の発言に不安さが戻った。
先生
先生
この生活班を、来週の宿泊研修のグループとしますっ






……宿泊研修だって?

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