入学式も終わり、春休みの宿題やら早々のテストやらを済ませてやっときた昼休み。
小学校と変わらずの給食制に嫌気がさす。
お弁当ならお兄ちゃん達と一緒に食べれたのに……。
先生に言い渡された生活班、というものになるために指示通り机を合わせる。
……うわ、最悪。
国見くんとは隣の席だから、必然的に同じ班になってしまった。
あちらもあからさまに嫌な目線を送ってくる。
しかも……。
先生に呼び出され、なぜか空いている前の席の子の机を動かせてから向かった。
先生は心底申し訳なさそうに言った。
自分の席にくっついた机を見ると、国見くんが目の前で、国見くんの前の席のツンツン頭の男の子、その前のキリッとした目付きの男の子が座っている。
正直女の子よりも、普段絡みのある異性の方が接しやすい。
……まぁ国見くんはちょっと苦手だけど。
先生はホッと胸を撫で下ろした。
給食を食べながらの自己紹介を強制され、どこの班よりも静かだったうちの班にポツポツと会話が出始めた。
……でふ。
席に偏りがあるため私の隣(休みの女の子)の席に座った影山くんが盛大に噛んだ。
ツンツン頭の男の子は控えめにそう言った。
私がヨーグルトを手渡すと、目をキラキラさせた。
……いいやつの基準低すぎでしょ。
国見くんはそう言いながら、チラッと私を見た。
もしかして、あんな態度だったのは朝だったから?
いや、だとしても悪すぎ……。
考え込んでいると視線が集まって、慌てて口を開いた。
二カッと笑った金田一くんは、とりあえず中学での友達一号だ。
真剣な顔でそんなことを言ってくるものだから、思わず笑った。
そしてまぁ当然、3人の目線は国見くんに集まった。
曖昧な約束に、国見くんは微笑したように見えた。
皆それが見えたらしく、返事は聞かなくても分かった。
とにもかくにも友達が一気に3人できた私は、次の先生の発言に不安さが戻った。
……宿泊研修だって?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!