週末。
約束通り4人で遊びに来たのは、定番とも言えるボーリングだった。
受付は金田一くんがちゃちゃっと済ませてくれて、レーンに入った。
影山くんから渡された黒い玉を両手で受けとると、物凄い重さで体ごと沈んだ。
スイカみたいな玉を渡されて、持ってみると案外軽かった。
投球順は、金田一くん、影山くん、国見くん、私。
綺麗なフォームで送り出された玉は、溝に落ちるスレスレでカーブし先頭のピンに当たる。
ちゃらんちゃら~んっ
軽快な音と共に画面には「Nice strike!」と表示された。
立ち上がって拍手を送ると、金田一くんはへへんと胸を張った。
次の番の影山くんが腕捲りをして玉を掴む。
隣に座る国見くんが言うので、ポテトを注文することに。
店員さんに頼んでから影山くんの方を見ると、もう投げた後らしくて画面にはまた「Nice strike!」と表示されている。
速度?
そういえばえげつい音がしてたようなしてないような……。
ビシッと指差してくるので両手を合わせた。
怒る影山くんを笑いながら、国見くんが席を立ってボールを掴む。
必要最小限の体の動きで、見事スペアを獲った。
運ばれてきたポテトを一気に頬張りながら金田一くんが口を尖らせた。
苦笑しながらレーンに立つ。
金田一くんが選んでくれた玉を持って、とりあえず金田一くんのフォームを真似てみることにした。
……えっと、確か助走つけて腕引いて……。
スポッ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!