ベランダに出て京治くんと色々話していたら
夜の11時になっていた。
そろそろ寝ようかと京治くんに言われて
お互い部屋に戻ろうとした時…
京治くんに呼び止められた
実は私の家は中学を卒業してからしか
携帯を持たせてくれなくて
私は携帯の使い方がイマイチわかっていない。
京治くんにおまかせして
連絡先を追加してもらった。
アプリにも連絡先を追加してもらって
いつでも話せる状態にしてくれた。
そう言って彼は笑った。
私は機械音痴で
ゲーム機を欲しがる小学生の頃も
ひたすら勉強をしていた。
弓道を少々していたが
球技などスポーツは全般それなりにできる。
それが私の取り柄だと思う。
(京治くんってこんな事サラッと言えちゃう系だったっけ…?)
不意に言われた言葉に
ドキドキしっぱなしだ。
彼はずるい。
昔はあまり自分のことを
話してくれなかったのに。
しかも、こんな事も
恥ずかしがって言おうとしなかったのに。
私の知らない京治くんが
時折見えるのが少しだけ悲しかった。
そう言って彼は部屋に戻った。
3年前に戻ったみたい。
引っ越す前の日の夜も
こうやって おやすみ と言って
彼は部屋に戻っていった。
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次の日、いつも通り学校に向かって
授業を受けて放課後になった。
京治くんは部活で体育館にいる。
(私も何か入ろうかな…)
私は昔弓道をしていた。
母が弓道をしていて
たまに教えてもらっていたのだ。
中学も弓道部に入っていた。
(弓道部……か…)
私は弓道場に見学に行った。
先輩方が弓を引いている姿は
とてもかっこよくて見惚れた。
(び、美人…)
声をかけてくれたのは
弓道部の副部長の宮川 藍(みやがわ らん)さんだ。
藍さんに是非入ってほしいと誘われた。
今年はあんまり人が入らなそうだから
もし興味があるなら入ってほしい。と。
弓道なら長く続けてたし
部員さんも優しい方ばかりなので
父と相談してみることにした。
彼は部長の橋本 大河(はしもと たいが)さん。
藍さんが紹介してくれた。
とても優しく人当たりの良い人だ。
会釈をして弓道場を出る。
携帯で時間を確認するともう18時半だった。
私は急いで玄関に向かった。
京治くんはそこにはいなかった。
(あれ…部活まだなのかな…)
私は京治くんを探した。
体育館の近くまで来た時…
女の人の声が聞こえた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。