第13話

- episode 12
298
2020/08/31 15:08
ベランダに出て京治くんと色々話していたら
夜の11時になっていた。

そろそろ寝ようかと京治くんに言われて
お互い部屋に戻ろうとした時…
赤葦 京治
赤葦 京治
あ、茉希
京治くんに呼び止められた
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
どうしたの?
赤葦 京治
赤葦 京治
いや、その…
連絡先…交換しない?
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
あ、連絡先ね。
えーっと…
実は私の家は中学を卒業してからしか
携帯を持たせてくれなくて
私は携帯の使い方がイマイチわかっていない。

京治くんにおまかせして
連絡先を追加してもらった。

アプリにも連絡先を追加してもらって
いつでも話せる状態にしてくれた。
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
ありがとう
赤葦 京治
赤葦 京治
昔から変わんないね茉希は。
勉強もスポーツもできるのに
そう言って彼は笑った。

私は機械音痴で
ゲーム機を欲しがる小学生の頃も
ひたすら勉強をしていた。

弓道を少々していたが
球技などスポーツは全般それなりにできる。

それが私の取り柄だと思う。
赤葦 京治
赤葦 京治
まあ、そういうところも可愛いんだけど
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
え…
(京治くんってこんな事サラッと言えちゃう系だったっけ…?)

不意に言われた言葉に
ドキドキしっぱなしだ。

彼はずるい。
昔はあまり自分のことを
話してくれなかったのに。

しかも、こんな事も
恥ずかしがって言おうとしなかったのに。

私の知らない京治くんが
時折見えるのが少しだけ悲しかった。

赤葦 京治
赤葦 京治
じゃあおやすみ
そう言って彼は部屋に戻った。

3年前に戻ったみたい。
引っ越す前の日の夜も
こうやって おやすみ と言って
彼は部屋に戻っていった。

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次の日、いつも通り学校に向かって
授業を受けて放課後になった。

京治くんは部活で体育館にいる。

(私も何か入ろうかな…)

私は昔弓道をしていた。
母が弓道をしていて
たまに教えてもらっていたのだ。
中学も弓道部に入っていた。

(弓道部……か…)

私は弓道場に見学に行った。
先輩方が弓を引いている姿は
とてもかっこよくて見惚れた。

宮川 藍
宮川 藍
あら…1年生?
(び、美人…)
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
あ、はい…!
た、小鳥遊 茉希と申します。
宮川 藍
宮川 藍
茉希ちゃんかあ!
見学来てくれてありがとう!
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
いえ…
声をかけてくれたのは
弓道部の副部長の宮川 藍(みやがわ らん)さんだ。

藍さんに是非入ってほしいと誘われた。

今年はあんまり人が入らなそうだから
もし興味があるなら入ってほしい。と。

弓道なら長く続けてたし
部員さんも優しい方ばかりなので
父と相談してみることにした。
橋本 大河
橋本 大河
あ…君
彼は部長の橋本 大河(はしもと たいが)さん。
藍さんが紹介してくれた。

とても優しく人当たりの良い人だ。
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
私は入部したいと考えているのですが
父と一回相談してもいいですか?
橋本 大河
橋本 大河
ああ。全国にも出場することがあるから
遠征したり合宿も多くなるし…
それを伝えておこうと思って。
小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
あ、ありがとうございます!
それでは、また明日お邪魔しますね
橋本 大河
橋本 大河
いつでも待ってるよ
会釈をして弓道場を出る。
携帯で時間を確認するともう18時半だった。

小鳥遊 茉希
小鳥遊 茉希
え、やば…!
私は急いで玄関に向かった。
京治くんはそこにはいなかった。

(あれ…部活まだなのかな…)

私は京治くんを探した。
体育館の近くまで来た時…

女の人の声が聞こえた。

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