____________ akaashi side...
もう4月。
高校生になって2回目の春が来た。
高校2年になった俺は
いつも通り学校に向かった。
あくびをしながら
眠そうな声で挨拶をしてきたのは
俺の先輩の木兎さん。
木兎さんはいつもはこんな感じだけど
バレーの試合になると
とても魅力的なプレーをする。
普段からもっとしっかりしててくれ…。
と、いつも思う。
____________今日は入学式。
新入生がたくさんいるので
各部活動の新入部員勧誘にも力が入る。
推薦で入った新入生以外にも
バレー経験者、未経験者問わずに
毎年勧誘している。
もちろん、マネージャーも大募集中だ。
都内でも強豪校である梟谷学園だが
マネージャーは各学年に1人で
部員との恋愛は禁止されている。
男目当てで入りたいと言ってくる女子は
毎年多数いるが、今年はどうなるんだろうか。
こういう時だけキャプテンらしい
行動をする。
よく分からない人だ。この人。
そう思いながらも勧誘は順調に進んでいく。
明日から部活動見学が可能になるため
木兎さん含め、他の部員たちも気合が入ってるみたいだ。
俺が木兎さんに声をかけると
返事はなく、振り返ると彼はそこにいなかった。
もうすぐミーティングがあるのに…!
面倒な事になったが、
木兎さんを探さないと
ミーティングは始まらない。
仕方なく、3年生と俺で探す事にした。
______十数分後。
ようやく木兎さんらしき人を見かけ、声をかける。
彼の横には女子が立っていた。
顔はよく見えなかったが。
彼がその名前を出してきたので
びっくりした。
マキ…は、俺の好きな人だ。
あんまりこういうことを人に話したりはしないが
木兎さんならいいかと思い
茉希の話をしたことがある。
マキが梟谷に来ているのなら、
あの時伝えられなかった俺の想いを
ちゃんと伝えたいと思った。
いつか、会えるかな。マキ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!