部活動の新入部員の勧誘が
至る所で行われている。
菜奈についてきたはいいものの、
人が多すぎて、はぐれそうになる。
私はボーッとする事が多いため、
人混みに入るとよくはぐれてしまう。
ちゃんと菜奈についていったはずなのに、
前を見ると菜奈はいなくなっていた。
周りを見ても知らない人だらけ。
菜奈は先に行ってしまったのだ。
ドンっ
誰かにぶつかった。
立っていたのはジャージを着た男の人だった。
彼は笑顔で話してくれた
そう笑いながら言っていた。
少しだけ嬉しかった。
そう言って木兎さんと話していると、
ある人の声がした。
どこがで聞いた事がある声だった。
でも思い出せない。
どこか懐かしくて切ない声。
でも、温かくなる声。
嫌そうな顔をした木兎さん。
そう言って彼は去っていった。
名前を呼んだある男の人の元へ。
聞き覚えのある名前だった。
あかーし…。
まさか、と思い、私はその2人を探した。
はぐれた私を探してくれていたみたいだ。
菜奈の横にある男の子がいた。
安藤 碧(あんどう あおい)
私の幼馴染みだ。
碧くんは中学も私立だったため、
私たちとは違ったけど
高校でまた一緒になった。
菜奈にそう言われて私は事情を話した。
そう、私が探していたのは
赤葦という人。
私の初恋の相手_____________
赤葦 京治(あかあし けいじ)だ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。