起きると、ふぉいが何かごそごそ探してる
肩にかけられたジャケット
ふぉいの匂いがする
冷え切った体を温めるように、肌を擦る
頭がぼーっとして、顔が熱い
寒くて寒くてたまらない
ふぉいに手を伸ばす
ふぉいに抱きついて、強く抱きしめた
ふぉいはそのまま抱きしめ返してくれる
ふぉいのおでこと私のおでこがくっついた
ふぉいは焦ったように、ドアを開けようと叩く
バンバンとすごい力でドアを蹴る
するとバンっ、と大きな音を立てて
ドアが開いた
旧倉庫だったからか、ドアが緩かったみたいで…
視界が眩む
体が冷たい
瞼が重い
私はその場に倒れこんだ
脇side
あなたに振られて、気まづくなって
話せなくて、近づけなくなった
勇気を出して目を合わせても、そらされてしまって。
フェスの時、あなたの横を横切る
ふわっ、と香る女の子っぽい匂い
露出の激しい服
みんな、見てるのに
変な男どもが。
あなたが俺を見つめる視線がわかる
ドクンドクンと心臓が高鳴る
かっこいいところを見せなきゃ
って、なに言ってんだよ俺
もうとっくに振られて諦めるて言ったはずなのに
嫉妬して、傷ついて
ズルズル引きずってんなぁ…
あなたのダンスの番になった
腰を揺らすあなたに、視線を奪われた
綺麗で、エロくて、女っぽくて
思い出す、あなたを抱いた時。
あの感覚、
甘くとろけた声
俺を求めるあなたに
余計に虜になった
フェスが終わり、みんな帰るってなった時
すると、あなたと一緒に踊ってた子が何かを必死に探してる
そして俺らに話しかけてきた
息を切らして、汗を垂らしたその子
俺は無意識に走り出してた
社長が、ふぉいと関わってそうとか言うから
余計不安になって。
あなたは可愛いし、
力も弱いし、無防備で鈍感だから
すぐに襲われる
しかもあの格好なら尚更だ、
もし…手出してたら…
考えるだけで頭がおかしくなりそう、!!
でも、見つからなかった
後からあなたの友達の子のまひろ?って子に聞いても
いない、荷物もある、とまだ見つかってない
もう時間は6時半を過ぎてて、
風がどんどん冷たくなっていた。
すると、俺の携帯が鳴った
ふぉいからだ…!
走って行くと、旧倉庫の扉が開いている
そして、二つの人影が見える
ふぉいとあなた
でも、あなたの様子が変だ…
あなたを持ち上げて、すぐに大学の保健室へいく
あなたはすごく冷たくて、
とにかく、焦った
もっと早く見つけていれば、もっと早く…!
そう後悔した
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。