あんな言い方でよかったのかな
強く言いすぎた?
せっかく告白してくれたのに、
私、いつも甘えるの我慢してた
脇に迷惑かけないように
私が笑顔でそういうたび、
あなたはなぜか眉を下げて
寂しそうな顔をしたよね
多分、今頃ライブが終わった頃だと思う
脇に電話をかける
いつもみたいに高笑いして
声だけでも笑ってる姿が見えてくる
何で黙るの…?
忘れちゃったの、脇…?
不安がよぎる
ワントーン高い声と
はにかむ声に
胸が熱くなる
無意識に口に出していた
それから脇から連絡があった
帰れるって!!
脇と過ごせるっ!
でも、名古屋から福岡までは距離がある
間に合うのかな、
新幹線の駅へ向かって
ホームで脇を待つ
溢れかえる人たち
サラリーマンから、家族から、恋人から、おじいさんまで
新幹線が停車したらしく、たくさんの人が出てくる
必死に脇の姿を探す
キョロキョロと辺りを見渡しても
ぞろぞろと出てくる人達で見えない
すると後ろからふわっと誰かに抱きしめられた
あったかくて、嗅いだことある匂い
私の大好きな人。
手を繋いで帰る
久しぶりだなぁ、こうやって歩くの
脇は有名人だから、あんまりこんなこと出来なくて
本人は良いとか言ってるんだけど、
私が流石にまずいでしょ、って怖がってたんだよね
嬉しそうな横顔を眺める
冷えた指先があったかくなっていく
家に帰ると、一緒にお風呂入って
テレビ見て、写真撮って
ふざけあって、キスして、
いっぱい愛し合って。
朝起きたら、私の指に
綺麗な指輪がはめられていました。
END____
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。