耳に馴染むバイブ音。
はるからの電話。
鼻声のはる。
来たか。
とりあえず
これからのことを伝えないと……
しばらく宥めていると、
はるの方からザワザワと音が聞こえてくる。
どうやら部下が来たらしい。
電話を切ると、
再び部屋に静寂が訪れる。
その中、私はポツリと呟いた。
私はここまでしか原作を知らない。
もう終わりか。
まあ、つまらなくなってきたとこだし、いっか。
私はキッチンから
ついこの前買った高級なワインを取り出す。
そういやこれを買った時、
一緒に飲もうって約束したっけ。
私はそれをワイングラスに注いで
勢いよく飲んだ。
何杯か飲むと、
そろそろ半分に達することに気がつく。
私は、はるの部屋に入って
薬を拝借。
ワインでそれを胃に流し込んだ。
最後の一口を飲み終える。
酒には強い方なので、まだまだ飲めそうだが
やめておこう。
はるの分が無くなってしまう。
耳に付いたピアスを外していく。
"フタゴムシ"のやつ以外、全部。
机の上に置いて、
真っ白なメモと、
はるが愛用していたペンを取り出す。
バルコニーに出れば、
サファイアみたいな夜が視界いっぱいに広がった。
初夏の空気を思いっきり吸い込んで、
吐く。
今日はどうやら、_______日和らしい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。