声が震える。
何故…、今出てくるんだ。
…。
彼の名前を聞いた者は皆顔を歪ませる
どうして今になって…出るのだ…。
彼の名前が…。
二神の焦る声が響く中被さる
低く真剣な顔のシノの声が沈黙を要した。
皆、動揺を隠せずにいた
───『神殺し』のジシ
死神界では有名な裏切り者
その名の通り、神を殺した。
だが、彼は神を殺した日死んだ。
その目撃者が二神と…シノ。
姿、形もなく消滅したのだ。
したのだ、消滅…したのだ。
しかし、ジシが消えた後の記憶が一部
無い…。
シノは何か知っているのか…?
眉間にシワがよる。
ダメだ、まるで分からない
アイツが何考えてるか…
酷く、汗をかいていた
視線は徐々に下へ。
ただ上司だけは焦らず目線をシノの方へ
ずっと向けている。
シノはとりあえず笑う
そう言いながらリモコンを操作する。
さっきまで映ってた男性の写真が消え
1人の少年の写真が映し出された。
皆、モニターを見た
そう老人の死神が口にした。
けれど、皆同じようなことを思っていた。
何故なら、“彼”は死神の姿ではなく…
人間の姿だったからだ。
ごく、普通の高校生。
怒りがこみ上がり老人の死神は怒鳴る。
ニヤリと笑う。
ただ目は笑っていない。
呆然と二神が呟く。
呆気に取られる
まさか!いや、ありえないと
思考がグルグル回る
バンッ!!!
老人の死神はテーブルを叩き立ち上がる
老人の死神はシノ方へと近づく。
シノは鼻で笑い、煽ってケラケラ嗤う。
老人の死神は右手を翳し低くその言葉を口にする。
すると右手から銃が出てきた。
『二重拳銃』
対するシノは何も武器は持たずただ佇み
口を動かす。
しかし何も起きていない。
いや、よく見るとシノの周りの近い空間が
歪んでいるのだ
両者共に戦う気は満々。
老人の死神が銃の引き金を引いた────
はずだったが声に遮られた。
上司の声と共に
シノの空間の歪みや老人の死神の銃が
かき消された。
まるで、最初から何もなかったかのように
上司、『王神』の圧力がかかる。
シノは少し不服そうだが従い座る
が、老人の死神は納得出来ないようで
まだ立っているままだった。
低い声と圧力…。
睨む目で老人の死神に王神は言う。
老人の死神はキッとし訴える。
王神は手を翳し一言で終わらす。
老人の死神の言葉が出る前に跡形もなく
完全に消えてしまった。
そこに最初から誰もいなかったように
老人の死神の席もいつの間にか消えていた。
ゴクッ
シノは唾を飲み込んだ。
シノは冷や汗をダラダラ出していた。
それで、死神が消えたのだが皆驚きも声もあげることなく…「?」のマークが頭の上に乗っていた。
消えていた。
皆の中でさっきまでいた老人の死神は
消えたのだ。
存在そのものが
そして話は突如と戻るのだ。
不意に言われたので間抜けな声が出てしまった。
頭を掻きながら、生返事。
王神はそれを聞き流し
モニターをじっくり見て言う
クワッ
物凄い形相でガタッとテーブルを揺らしながらシノはそういう
頬に汗が伝う。
その汗が落ちた瞬間、王神ははっきりと理由を述べる
途中で何かに思い立った王神。
たが、何故今更と言われるとシノは反論出来なかった。
ズバッ
シノは、手をヒラヒラと振ってテーブルに突っ伏し苦笑し降参と言った。
二神は言われるまま書類を取りに行く
そしてテーブルの上、それぞれの担当の書類を渡していく。
もちろん拗ねて縮こまっているシノにも書類はまわった。
シノは驚き、汗をダラダラ流す
そんな愉快なものを見た二神はニタァといやらしい笑い方をしていた。
『お前に仕事が無いとでも思っていたのか?』と言う視線も送られる。
と、ニッコリ王神は微笑む。
シノはただただ追いつけない状態だった。
ゴゴゴゴゴゴォと二神のなんとも言えない
オーラが
『やれよ?サボるなよ?サボったら殺すぞ?』と言うような微笑んだ顔していた。
ヒェ…。
頬膨らませながら部屋を出る
………。
ふと妙に色が違う書類の紙を見つけ
じっくり見る
『魂回収対象者︰大神宗時(16)
異常者
死の時まで嘘から解放してあげることが最優先事項
彼の願い──────…、叶えるべし』
全ての書類を見終わった。
そして、靴の音を鳴らし廊下歩く。
口元の角度を少し上げ感心する。
そして、いつの間にか手にしていたある写真を取り出し見つめる。
その写真に映っていたのはとある3人組。
シノの目線から見て右端に映っている者は無愛想に本を手に持ち左端の者は両手でピースを作りニカッと笑っている。
そして真ん中の者は穏やかに微笑んでいた。
シノの脳裏に過去の光景がフラッシュバックする。
楽しかったあの頃…。
けれどもどれやしない…。
写真を戻し空間を作り彼の元へ向かう
シノは会いに行った。
死神が
もうすぐ来るよ。
作者の声
はい…。
プロローグこれでやっと…ง'ω')ڡ≡) ゚∀゚)・∵. グハッ!!
次から1話っと…思うじゃないですか!
いや、実はまだちょっと1話にまだ入らないんですよね…。
1話を入れる前に重要な伏線みたいな
章を入れます。
この章、自分的には好きなんですよ
だから上手く書けるといいなぁと
では、また!
次回
『道化の心情①』
(最終更新日︰((2019/04/29))
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。