今わたしは風磨の運転する車にのっているけど...
風磨は少し不機嫌でなんだか話しかけづらい。
沈黙がわたしたちの間に広がっている。
眉間にシワを寄せてるのは怒ってるから。
だけど、どこか寂しそうで、切なそうな顔をしている。
沈黙から一転...
車のなかでわたしたちの言い合いが繰り広げられてる
車を路肩に停めて、そう風磨は叫んだ。
そのまま強引にわたしの手首を引き、
気がつけば風磨の逞しい腕に体ごと包まれた。
わたしを抱き締めてる手が震えている。
風磨の心臓の音がわたしの体全体に
ドクドク、ドクドクと伝わる。
『本気なんだ。』
そう実感した。
今度はしっかりとわたしの目を見つめて
そうまっすぐに気持ちを伝えてくる風磨に
逆らえず、部屋に向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!