第26話

No.26
1,584
2021/08/01 05:12
正体はバラした。




そうする事で、敵としての注目が私に偏るからだ。




恐らく学校も退学になるしいいかな〜って。昨日の黒田組ぶっ殺し事件は大きく報道されていた。




HA HA HA!




でも今回は流石にやりすぎだった。レアンに叱られちゃったし。




今は叔父の家があった場所に建てた教会に隠れてる。




木の匂いが心地よく、落ち着くところだ。




黒田組から連れ帰った女性、葉音紡はとても役に立つ女性だった。




個性がハッキングなので、事務仕事がとても早いのだ。




私は彼女に衣食住を与え、事務仕事を全て彼女に放り投げた。




え?労働基準法に触れてないのかって?




大丈夫大丈夫、葉音は喜んで引き受けてくれたから!




さて、これで本格的に私の仕事は汚れ仕事のみになった。




私は教会の小さな部屋で全国に潜入させた仲間からの情報をまとめる。




もうすぐ雄英は林間合宿か……。




オールマイトよりも先にオールフォーワンを捕らえる。




そして叔父の死について聞き出そう。




Enterキーを勢いよく打った時、けたたましく携帯がなる。




…治崎からだ。




逆探知でもされたら困る。




私は個性で携帯を潰した。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから5日。




オールフォーワンの仲間を根絶やしにした。




あとはアジトを特定するだけ…!




なんて思いながら散歩をしていたら、1番会ったらまずい人物に会った。




治崎「篠陰……!」




あなた「げ」




個性で咄嗟に逃げようとするが、腕を掴まれ失敗する。




あなた「なんですか、治崎くん____…?!」




腕を引き寄せられ、私の顔は治崎の胸板に埋まる。




治崎「何処に行っていた……」




息をすると治崎の匂いで鼻腔が満たされ、顔が熱くなるのを感じる。




あなた「治崎くん、離れてください……!」




上手く力が入らない…!




治崎「勝手に音信不通になるな…」




あなた「………。」




ダメだ。離してくれ。




君の温もりから、離れられなくなってしまう。




私の手はもう__…。




私はドン、と治崎を突き放し、影に近づく。




あなた「そんな目で見ないでください、治崎くん」




去り際にそう言って、私は個性の中へ消えた。



























ホークスside




公安からの潜入依頼。




俺は町外れにある新設の教会へ向かう。




何でも有名な絲賀見商社の裏組織のトップがいるそうだ。




二重スパイとして活躍しろと公安の奴らは言っていた。相変わらず人使いが荒い。




教会には子供が10人程、楽しげな声をあげて遊んでいた。




本当にこの教会にトップに立つ敵、スカトがいるのか?




教会に入ると身廊の辺りで足を止める。




いた。あれがスカトか?




手を組んで椅子に座っている人間の後ろ姿に近づく。




刹那、冷たい何かが首筋に当たった。




「……誰だ」




スカトって女だったのか。




ホークス「アンタがスカトですか____…?!君は!」




立ち上がりこちらを見たのは普通科にして体育祭で優勝した少女、篠陰あなた。




あなた「ホークス…?!何故ここに…」




お互いに臨戦体制に入る。




彼女の殺気を肌で感じ、背筋が逆立つ。




「スカトお姉ちゃん、何やってるの?」




気付いたら子供がそばに居た。冷めきった空気が一瞬で歪む。




あなた「裕真くん…今お客さんとお話してるの。お外は飽きちゃった?」




裕真「あのね、スカトお姉ちゃんと遊びたくって……」




あなた「ふふ、今はダメなの、ごめんね?また後で遊んであげるから、シスターさんの所に戻って」




裕真「分かった!またね、鳥さん!」




ホークス「え、あ、うん」




裕真という少年が立ち去り、気まずい空気が流れる。




何だか拍子抜けだ。




ホークス「…アンタ、本当に敵ですか?」




あなた「…お茶にしよう、案内する」




スカトは教会の一室に俺を案内し、茶を入れる。




あなた「私の懐でスパイをしに来たんでしょう?ホークス」




ホークス「筒抜けですか。」




あなた「…ホークス、貴方の理想と私の理想は似ている。」




ホークス「と言うと?」




彼女はフッと笑ってティースプーンで紅茶をかき混ぜる。




高校一年生とは思えない、綺麗な所作だ。




あなた「ヒーローの必要ない世の中…1人の統率者によって日陰者は抑制され、悪は僅かに燻るのみ。」




ホークス「…俺はヒーローが暇を持て余す世の中にしたい。でも貴方のやり方には賛同出来ません」




あなた「そうだね、私が今行っている事は諸悪の粛清、根絶。力による抑制。」




物悲しげに彼女の金色の瞳が揺れる。




不覚にも、美しい、と思ってしまった。




ホークス「まだ学生でしょ、青春しとけばいいものを……。」




あなた「青春なんて、私にはおこがましい。ホークス、貴方には仕事を与えるよ。頑張ってくれ給え」











あなたside



「鳥のお兄ちゃん、遊ぼー!!」


「羽根もふもふだ!あったかい!!」



子供達が楽しそうにホークスへ飛びつく。




他に仕事ないし子供の世話でいいかなって思って任せちゃった。




まあ子供嫌いって感じじゃなさそうだしいいよね。




私は教会の壁に寄りかかってホークスと子供達を見守る。




時々困った顔して見てくるが、私は笑って返した。




裕真「スカトお姉ちゃんも遊ぼ?」




ンンっショタの上目遣いぃ……!




あなた「今はホークスさんと遊んでね。遊びたがってるから」




裕真「うん!分かった!」




裕真はホークスの元へ走っていく。




プルルルルルル




新しく買った携帯から電話がなる。




あなた「もしもし、レアンか?」


レアン『スカト様、オールフォーワンの拠点を特定致しました。』


あなた「__…でかした。よくやったな、レアン」


レアン『お褒めいただき光え『スカト様!スカト様!』ちょっと葉音!今話してるから邪魔しないで!』


あなた「ははは…葉音も久しぶり、調子はどうだ?」


葉音『スカト様のおかげで毎日楽しいです!お友達も出来ました!』


あなた「そうか、これからも引き続きよろしくな」


葉音『はい!』




プツリと通話を切る。




これで算段は整った……!




お昼寝の時間になり教会の中へ子供達が戻っていく。




ホークス「最近の子供元気ですねぇ……」




疲れた顔したホークスがそう言って近づいてくる。




あなた「No.3ヒーローも子供は手に負えないか」




ははっと笑い、ホークスと目を合わせる。




あなた「ここでは息を抜いてもらっていい。ヒーローと一般人には手を出さないさ。」




ホークス「…有難くそうさせてもらいます」











それからホークスは週に2、3程度でうちに来るようになった。






そしてある暑い夏の日、雄英高校1年生林間合宿襲撃事件が起こった。






……首謀者は敵連合。やはり林間合宿は止められなかった。







襲撃数日後に行われた記者会見を見ながら、私は地下室である準備を整える。






叔父の仏壇に線香を焚き手を合わせると、私は神奈川県神野区へ向かった。

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