ある朝、私はいつも通り登校し、教室で暇を潰す___はずだった。
登校した時相澤先生に呼ばれ、何故か校長室の前にいます。
あなた「失礼しまーす……ん?」
校長室に入ると根津校長はおらず、いるのは傍らにある黄色い寝袋。
これって相澤先生だよね?寝てんの?へ、へぇ〜……。
芋虫のように床で寝ている相澤先生。それを転がしたい衝動に駆られる私。
床で寝てたら誰だって転がしたくなるだろ?ボタン押すなって言われてるのと同じ現象だよ。
あなた「……………失礼しま〜す……」
押して転がした。だいぶ強く。相澤先生の入った寝袋が棚にガンっと当たって、私は正気に戻る。
何やってんだ私!!!除籍だ、除籍される!!!!
寝袋からのそっと相澤先生が出てくる。
で、今は捕縛布でぐるぐる巻きにされてる。
相澤「人の睡眠邪魔するとはいい度胸だな……」
あなた「い、いや〜…カリギュラ効果ってヤツですよ、仕方ない…く、苦しいです先生!」
根津「朝から元気だね君達!」
根津校長が扉の前に立っていて、捕縛布が解ける。ふぅ……。
あなた「校長先生、用件は?」
根津「ちゃんとお話するから、とりあえず今は腰かけるのさ!」
ささ!と言われて私はとりあえずソファに座る。目が怖いです相澤先生…!
にしてもなんだ?裏社会で経営してるのがバレたのか…?
根津「さて、今回君を呼び出したのは言うまでもない……」
除籍宣告か?!
根津「ヒーロー科へ編入して欲しいからさ!」
…………は?
あなた「…………それで?」
根津「ヒーロー科入試、体育祭を見て思ったが、普通科には勿体ない素晴らしい個性なのさ!
しかも、ヒーロー科は入試1位だった。何故蹴ったんだい?」
あなた「家庭の事情です、ヒーロー目指しても意味がなかったので。」
根津「ふむ、ヒーローになる気はないのにヒーロー科は受けたんだね?」
あなた「はい、私は幼少の頃から訓練を受けていたので、実力試しの場として利用させて頂きました。」
根津「成程、そういう事だったのか。」
あなた「ヒーロー科編入について考え直していただけましたか?」
根津「相澤くん、彼女がヒーロー科に馴染めるよう、よろしく頼むよ」
私の言葉を無視するように、相澤先生へそう言った。
相澤「分かりました、篠陰、行くぞ」
あなた「えっちょっ」
捕縛布で拘束され、私はA組に連れていかれる。
今は…職場体験終わったぐらいかな?
バリアフリーdoorを開け、私は拘束が解かれる。
麗日「あれっ、あなたちゃんや!」
瀬呂「篠陰じゃん!体育祭ぶり!」
相澤「今日からヒーロー科編入になった篠陰あなただ。唐突で悪いが、仲良くしてやれ」
相澤先生?????????
私承諾してませんが?強制?は????
クエスチョンマークが脳内を駆け巡っている間にホームルームは終了し、私は1番後ろの空いてる席に座らされた。
八百万「ヒーロー科編入おめでとうございます、これからよろしくお願いいたしますわ」
芦戸「編入おめでとーっ!改めてよろしくね〜!」
そう言って体育祭で知り合った人達が挨拶してくる。
あなた「あ、うん…よろしく……?」
放課後ちゃんと物申そう。うん。強制とかふざけるなよ雄英……!
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4限目の鐘が鳴り、昼休みになった時だった。
A組の教室の前に小さな人だかりができる。
トガ「あなたちゃん!なんでヒーロー科なんかに入っちゃったんですか?!」
荼毘「オイオイこんなところになんで編入したんだよォ?」
死柄木「お前結局はヒーロー志望だったのか?笑えるなぁ……」
トゥワイス「ヒーロー科行ったのかよ?!馬鹿か!素晴らしい判断だ!!」
マグネ「普通科に戻ってきなさいよあなたちゃん!」
敵連合が押し寄せた。死穢八斎會は敵連合の後ろで私の事めっちゃ睨んでる。
あなた「私だって急に連れてこられて何が何だか分かりませんよ……」
簡単に事情を話すと、次は死穢八斎會が校長にカチコミしに行こうとする。
あなた「治崎くんまってまってまって」
治崎「一度分解しなければ気が収まらん」
あなた「ちゃんと自分で解決しますから!」
上鳴「何〜?篠陰、普通科の友達?」
飯田「友人とふれあうのもいいが、そこは皆の邪魔になる!即刻場所を移すべきだ!」
お前ら来るな、粉々にされるぞ!!!
死柄木「は?ヒーロー科は黙ってろよ」
治崎「病気だらけだ…篠陰、普通科に戻れ」
荼毘「ヒーロー科なんざいる必要ねェよ、なァ?」
爆豪「ヒーロー科なんざだァ……?てめぇらみたいなクソモブが、何様だよアァん?!
つーかてめぇらは普通科女のなんなんだよ!」
普通科女って私???
トガ「あなたちゃんとは友達です!」
荼毘「友達だな」
死柄木「友達」
治崎「婚約者だ」
「「は?????」」
治崎の発言に、敵連合が注目する。
荼毘「おいどういうことだ」
治崎「どうも何もそのままだ、俺は篠陰と婚約した」
因みに私は治崎の唐突な暴露に恥ずか死にかけてる。言うなよバカ。
しかし実際の事情をこの場で話す訳にはいかない。
あなた「とりあえずお昼にしましょう、ね!」
私は睨み合ってる2人を引き離し、食堂に皆を引っ張る。
食堂で空いてる席に座らせると、尋問が始まった。
死柄木「婚約者っていうのはどういうことだ?」
トガ「どういうことですかあなたちゃん!治崎くんなんかと婚約なんて!」
治崎は不機嫌そうにフンと鼻を鳴らすと、お前が言えという視線を送ってくる。
あなた「…はぁ、組の復興のために私と婚約したんですよ。うちの会社をバックにつけるために。」
コイツらは私がスカトだと知っている。
荼毘「そういう事かよ…」
ケッと荼毘は姿勢を崩す。
あなた「ていうか私が誰と婚約しようと関係無くないですか?」
そう言うと皆の顔が固まる。何?爆弾発言した???
トガ「関係無くないです、あなたちゃんが人のものになるなんて嫌です」
トガはジトッと鋭い目で私を見る。
なんか予想外の反応〜!!!え、私が誰かの許嫁になっちゃうのそんなに嫌なのトガちゃん!可愛いね!
その後治崎はいつの間にか撤退。4人でご飯食べて午後の授業に入った。
放課後、編入について抗議したものの門前払い。
ヒーロー科……嫌だな……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!