第23話

No.23
2,164
2021/07/25 16:58
壊理「お姉ちゃん、あっちのメリー…ゴーランド?乗ってみたい」




あなた「メリーゴーランド?いいよ〜行こっか」




今週末は連続で遊んでいます、篠陰です。




今日は壊理ちゃんと遊園地デート♡




まあ後ろに治崎と玄野がいるんだけどね。玄野お前ペストマスク外せや。




にしても壊理ちゃんかわい〜!




治崎「…何なんだココは…病気だらけだ……」




蕁麻疹めっちゃ出てる……。来なくていいって言ったのに。




今では壊理ちゃんもすっかり笑うようになった。




メリーゴーランドに乗って満面の笑みを浮かべている壊理ちゃんを写真に収める。




はァ〜天使ぃ……!




玄野「…満足しやしたか、壊理嬢、篠陰さん」




あなた「…まだ来てから1時間しか経ってませんよ?」




治崎「1時間で十分だろう、早く帰るぞ」




あなた「じゃあ2人共先帰ってていいですよ、壊理ちゃんは私が守るので」




玄野「あ、いいんすか?」




治崎「…………。」




あなた「無言は肯定として受け取りますよ」




治崎「…分かった、もう少しだけだ」




玄野「えぇっ、いいんですか若!」




あなた「治崎くんの物分りが良くて助かります」




メリーゴーランドを終え、壊理ちゃんが戻ってくる。




壊理「あなたお姉ちゃん、他にはどんなのがあるの?」




あなた「そうですね…コーヒーカップなんてどうですか?」




1番近くにあったコーヒーカップを指差す。




壊理「乗ってみたい!」








フッwwwww待って絵面…wwwww




コーヒーカップは4人乗りだったのだが、治崎と玄野も好奇心が働いたらしく、一緒に乗ったのだが。




私がふざけて真ん中のハンドルを回すと、壊理ちゃん以外は思いっきり酔った。私は酔ってないよ。




グルグルと回るコーヒーカップで、潔癖男と鳥面男が俯いている。




面白すぎた。写真も撮った。超ブレた。




降りるとヤクザ2人はガチ酔い。2人は休むと言ってどこかの休憩場所へ向かって行った。




壊理ちゃんはその2人を見て心配そうにしていた。




現在時刻4時、壊理ちゃんが子供向けのアトラクションで遊んでいるのを眺めている。




男1「アレ、もしかして雄英の体育祭で優勝した子?!」

男2「生で見ると超かわい〜!なぁなぁ、お茶しない?1人なの?」




ナンパ?!え、初めて見た、私のどこがいいんだ…。もしかして社長コネ狙いか?





あなた「ごめんなさい、連れがいるので」




男2「そー言わずにさ、君みたいな可愛い子置いてく連れなんて放っておいて!」

男1「体育祭の話とか聞かせてよ〜!」




あなた「いや、だから、連れがいるので」




男2「いいから行こーよ、立ち話もなんでしょ?」


そう言って私の手首を掴む。



あなた「だーかーら、連れがいるんだって……」



私は男の腕を掴み、力を入れる。ミシミシと音がする。




男2「いっだ…何すんだ!」



殴りかかってきた男の拳をサラッと受け流し、男を背負い投げする。




玄野「…何してんすか篠陰サン」



治崎「…………喧嘩か?」




あなた「違います!」




治崎達が来ると、男達は逃げ出す。




あなた「ナンパですよ、ナンパ。」




治崎「怪我は?」




あなた「アレ見てしてると思いますか?」




クスクスと私が笑うと、治崎は呆れたような顔をする。




治崎「壊理は?」




あなた「壊理ちゃんならそこの遊び場に…………アレ?壊理ちゃん?!」




壊理ちゃんは遊び場から姿を消していた。




玄野「いなくなったんすか?!探しますよ、若、篠陰サン!」




あなた「私が目を離したばっかりに……!」




私と治崎、玄野は必死に辺りを見回す。




玄野「俺は西エリア探しやすんで、若と篠陰サンは東エリア探してください!」




治崎「ああ」




玄野はそう言うと、東エリアより狭い西エリアへと走っていった。




治崎「篠陰、個性で場所を探れるか?」


あなた「はい、壊理ちゃんの影探してみます」




私は小さくて髪の長いスカートの女の子の影を探る。



あなた「ジェットコースターと観覧車付近にめぼしい影が!私は観覧車の方へ行くので、治崎くんはジェットコースターの方へ!」









あなた「いない……」




観覧車付近は人という人がごった返している。




玄野から連絡が入る。




玄野〈壊理嬢見つかりました、お土産コーナーにいたみたいです。迷子センター前に若といるんで、篠陰さんも早く合流お願いします〉




よかったぁ……迷子センター前ね。




物陰にかくれ、私は個性を使う。公共の場で個性は原則禁止だからね!バレなければ問題ないけど!




……ビックリさせるか…!




気付けば夕方、私は迷子センターの裏からそろりそろりと近づく。


と、玄野と治崎の話し声が聞こえてきた。





玄野「若って結局篠陰サンの事好きなんすか?」

治崎「篠陰か?…まあ、アイツは他よりマシだろう、蕁麻疹も出ない。」

玄野「そうなんすね。……で、好きなんすか?」

治崎「……異性としてか?」

玄野「まあそうですね」

治崎「……………」

玄野「若?もしかして照れてるんすか?」

治崎「…黙れ。」

玄野「図星なんすね、好きなんですか」

治崎「篠陰には言うなよ」

玄野「ハイハイ、分かってやす」




は?


いや、いやいやいや。えーっっ……??


私は心臓が早鐘を打つのを感じる。顔が熱い。


何か聞いちゃいけない感じのやつだったァ……!


どうしよ、どう出る??!



1、聞かなかったフリしてビックリさせる

2、ちょっと離れた所に戻って合流する

3、もう少し待ってから合流する


……1はなし、多分聞いてたのバレる。

2か3…3は待つの面倒だし、2だな。



私は迷子センターから少し離れた建物の裏へワープし、迷子センターまで行って合流する。




玄野「遅かったですね。…顔赤いっすよ、大丈夫ですか?」




あなた「大丈夫!!!!」




壊理ちゃんは玄野と手を繋いでいた。




壊理「勝手に動いてごめんなさい……」




あなた「ううん、いいんだよ、初めてだもんね。でも1人は危ないから、次は誰かと一緒に行こうね」




壊理「…うん!」




治崎「…もういいな、帰るぞ」




そう言うと治崎は私の手を引く。




あなた「もうこんな時間ですねー、時が過ぎるのは早いものです…。」




遊園地を出ると、駐車場に停めてあった黒塗りの車へ乗る。ヤクザ感パネェ……!




運転は玄野。お前高校生じゃねえだろ。因みに壊理ちゃんは私の膝の上で爆睡。かわい〜!!!




そして治崎も何故か私の肩に頭を乗せて寝ている。「疲れたから寝る」だとよ!




にしても遊園地とか転生してから初めて行ったな、何十年ぶりだ?




チラッと治崎の顔を見る。




下まつげ長……そういえば治崎って額に小さい傷あったなぁ…。




私は治崎の額にある小さな傷に触れる。寝てる時も蕁麻疹出ないのか。




壊理ちゃんがモゾモゾと寝返りを打つ。可愛いね!!!




私は治崎に触れていた手を壊理ちゃんの頭へ移動させると、優しく撫でる。




あ〜…私も眠くなってきた……。









玄野「……爆睡じゃないですか…」




若が壊理嬢の希望で遊園地に行く事になった時、真っ先に篠陰サンを呼んだ。




自分が会いたいだけでしょう…と考えていた俺は、壊理嬢を探しに行っていた篠陰サンを待っている間、若へ篠陰サンに好意があるのか聞いた。




潔癖症の廻が異性を好きになるなんて初めてで、それはもう好奇心をそそられた。




学校でも見ていたが、廻から篠陰サンへの好意は分かりやすい。




現に今も、人の肩で寝るなんてしなかった若が、安心したように寝ている。




篠陰サンも壊理嬢に膝を、若に肩を貸しながら寝ている。




だから俺は思った。







玄野「親子かよ__……。」

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