第28話

No.28
1,445
2021/08/04 03:44
床に転がる2つの頭を見て、私は乾いた笑みがこぼれる。






口は笑っているのに、涙が止まらない。






叔父は私の為に死んだ。最低な冥土土産だ。






私は手に着いた血を拭き取り、自分の手に手袋をはめる。






_レアンに片付けてもらうよう連絡しなくちゃな…。






しかし携帯のボタンを押す気力も出ない。







ホークス「篠陰さん……!」






私が地下室を出て壁にもたれかかっていたら、いつの間にか居たホークスが心配そうに声をかけてくる。






ホークス「顔色悪いですよ…。それより、血の匂い…オールフォーワン殺したんですか」






私は伸びてきた手を振り払い、目を逸らしながら笑う。







あなた「ニュース見たんだね…。そうだよ、殺した。生かすと思ってたの?」







私は今酷い顔なのだろう。彼の目がそれを物語っている。







あなた「…ほら、もう行って。人殺しにかける情なんてないでしょ……。」







私がそう言うとホークスは私の肩を掴んで、自分と目が合うよう正面を向かせる。







ホークス「っそんな顔してるのに放っておけるはずないでしょう…!」







そう言って私を抱き寄せる。






あなた「流石ヒーロー…お節介だね……」







ホークス「ホント、職業病みたいなモンですよ」








私は彼の腕の中で、目頭が熱くなるのを感じる。







あなた「…胸、貸してくれない?」






ホークス「ドーゾ、好きなだけ」







熱い雫が、溢れるように私の頬を伝った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ホークス side





ニュースでの篠陰さんの布告に、椅子から転げ落ちるほど驚いた。





何より諸悪の根源、オールフォーワンを颯爽と攫って行った事だ。これに関しては問い詰めなくてはならない。





未だ分からない彼女の目的。






僅かながらの不安を抱えながら、いつも通り教会を訪れた。






子供達からの遊びの誘いをかわしながら篠陰さんを探す。






やっと見つけたと思えば、酷い顔をして壁にもたれかかっていた。






その近くにあった地下室の扉からする鉄臭い匂い。血だ。






俺は咄嗟に篠陰さんへ駆け寄る。






まるで取りつかれたように篠陰さんは自分の手を見つめていた。






__このままでは死んでしまう






あれは洗えない手を見た殺人犯の目だ。






絶望し自害する__止めなければ、と即座に思った。






掴んだ肩は恐ろしく冷たく、彼女の金色の瞳もまた、冷たく光を宿していなかった。






__人殺しにかける情なんてないでしょ……






そうかもしれない、でも今の貴方は…弱々しい少女にしか見えないんだ。






……彼女の理解者になりたい。力足らずでもいい、守りたい…。






きっとそれは、烏滸がましい考えなのだろう。






俺は優しく彼女の震える身を抱いた。





胸元が少しずつ濡れるのを感じながら。

プリ小説オーディオドラマ