コーヒーを飲みながら、私たちはたくさん話した。
私は笑顔で親指を立てる。
真ちゃん可愛いな〜💕なんて思っていると、あることに気がついた。
驚いてあげた真ちゃんの大声に、店中が視線をこっちに向ける。
私は小声で言う。
でも、案の定気づかれ、店内が一気に騒がしくなった。
ツッこむ暇もなく、3人の女性客が私たち、いや、真ちゃんのところへ来た。
と、興味津々で、もう他人事のように真ちゃんと女性たちのやり取りを見ていることにした。
余裕のある態度を取っていると見せかけて、真ちゃんは耳まで赤くしていた。
そして3人とも握手し終えて、席へ戻る。
席に戻ってからも、頰を赤く染め、笑顔ではしゃいでいる。
なんて思いながらにこにこしていると、不意にその中の1人と目があった。
すると1人が他の2人に何かコソコソと話す。
「まぁいっか」と目を逸らすと、また誰かが近づいてくる足音がする。
ぱっと横を見ると、その女性客3人が私を見つめていた。
私は胸の前で手をぶんぶん振りながら否定する。
その3人は真ちゃんに聞こえないように喜んでいる。
それを見て
と思った。
なんだか微笑ましい気持ちで真ちゃんの方を見ると、まだ他の人と話していたり握手をしている。
と、自分の過去にさっきの女の子たちの気持ちを重ねていると
また店内が一層騒がしくなった。
私たちが入ってきたドアの方を半ば興味範囲で見たその時、思わず目を見開いた。
私の大声に気がついた真ちゃんも、私の視線の先を見る。
なんと、入ってきたのは───
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。