第5話

4話
127
2020/04/04 07:09

___


次の日。


昨日と同じ場所に行ってみる。
…ぁ、
あなた

こんにちは

……

怯えているが、昨日みたいに消えることは無さそう。よかった。
神山智洋
君、名前は?
っ、近づかんといて!

初めて聞く大声に驚く私たち。神ちゃんは心の声も聴こえるのだから余計だろう。
ど、どうせ馬鹿にするんやろ、俺のこと…、そ、それか政府のもんか?俺はどこにも行かへんぞ…!




…なるほど。



この前話したと思うが、能力者は希少な存在だ。人間は彼らの "普通" を押し付ける。神ちゃんのような普通でない人は当然いじめの対象になり得る。


それと。


政府は公にはリヒトであるため、ドゥンケルを排除しようとすることもしばしば。目の前の彼が威嚇する理由も理解できる。
あなた

違うよ、私はあなたを馬鹿にしたり、存在を否定したりしない。政府のバッジだって持ってない。


俺も持ってへんよ、と隣で神ちゃんも首元の襟を見せる。
重岡大毅
……しげおか、
あなた

しげおかさん?


小さくそう呟いた。
神山智洋
…ちょっとは心開いてくれたっぽい

ふふっ、と笑う神ちゃんはしげおかさんの声が聴こえているみたい。
あなた

私たちと一緒に来ない?


私は優しく微笑み手を伸ばした。


プリ小説オーディオドラマ