それから、全員軽く挨拶して、
帰る準備をしていた。
︎︎
あなたside
歩いて行く7人を見ながら、
やっぱり、死にたくなかったな…
って思う。
もっと早く病院に行ってればな…
って後悔する。
毎年、毎年、
ガンなんかで死んでしまった自分が、
嫌になる。
毎年、海ちゃんが私の所に来て、
悲しい顔をするのを見る度、
私が生きてたらって、妄想する。
私が生きてたら、
誰よりも早く駆けつけて、
海ちゃんを元気にするのに…
今の私に出来ることは…
見ている事だけ…
もう一度、海ちゃんに触れたい。
それが私の願いだった。
そう。
私は死んでから、
何故か桜を操れるようになった。
と言っても、桜の季節だけだし、
桜を咲かせる事しか出来ないけどw
それに、基本的には、
自然に任せてるし、
普段は使わないけどね。
まぁ時々、こうやって、
誰かが桜を必要としてる場合だけ、
咲かせる。
それで、皆が喜んでくれるなら、
私も嬉しいから。
もちろん、こうやって、
定期的に私の所に来てくれて、
愛されてるなって、
自分でも感じるし、本当に嬉しいけど、
だけど、その分辛かったりする。
こんなにも愛されてるのに、
その要望に、何も応えられない。
戻ってきたらいいのになって言われても、
何も出来ない。
これが、何よりも辛かったりする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。